第二十話 ページ20
『お館様?』
「あぁ、お前も挨拶しといた方がいいだろォ」
実弥さんに手を引かれてやって来たのはまだ入ったことの無い大きなお屋敷。
大広間に通されて、実弥さんの隣に座った。
「待たせて済まないね」
「いえ、突然の訪問、お許し下さりありがとうございます」
実弥さんが頭を下げたから、私も同じように頭を下げた。私たちの前に、お館様と呼ばれた人と小さな子が座った。
「Aを連れてまいりました。これからは、俺がこの子の面倒を見ます。」
「そうか、Aと言ったね。
少し、私に近づいてくれ」
『は、はい』
私は言われた通り、お館様に近づいた。すると、お館様はゆっくりと私の頬に手を添えて、鬼に作られた傷を撫でた。
「跡が残ってしまったね。すまないね」
なぜこの人が謝るのだろう。
この人が私に対して謝ることなんて、何もないはずなのに…
『いいんです、実弥さんとお揃いだから』
「そうなんだね、実弥、この子を頼んだよ」
「はっ」
お館様は童子に手を引かれて部屋を出て言った。
少しの間しか話さなかったのに、心が暖かい
あの人の声を聞いていると、不思議と落ち着いた
『お館様は優しい人なんですね』
「あぁ、本当にな」
実弥さんも優しい顔をしていたから、お館様は慕われているのだと感じた
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作者名:鳥屋 | 作成日時:2019年10月11日 19時