第十八話 ページ18
1週間以上が経った
小さなあいつがいなくなってから
以前の状態に戻っただけなのに、どうしてこんなにも寂しいのだろうか
あいつは元気にやっているだろうか……
「あれ、風柱様、どちらへ?」
「巡回だァ」
夜の街、鬼が出た訳では無いが、巡回をする
無意識にAを預けた夫婦の家の方へ足が向いていた。
見送りもしなかった奴が、今更なんの用だってんだ
引き返そう、そう思って背を向けた時
パリーンッ
陶器の割れる音と、男の怒号…そして
Aの叫び声
俺は急いで、夫婦の家に向かった。
扉を蹴り飛ばし、中に入る
「おい、何があ………てめぇっ!」
目に入ったのはAを踏みつける男、それを後ろで眺める女
なにが、温厚だ、慎ましく生活しているだ
男を力任せにはじき飛ばし、Aを抱き上げる
男はそのまま気絶した
「おい、しっかりしろ!」
こいつ、こんなに小さかったか?
痩せて、以前より軽くなっている体
小さな呼吸
『実弥、さん……実弥さんっ』
Aは俺の服に顔を押し付け、涙を流した
「てめぇら……」
「ひっ……!」
女が小さく悲鳴をあげ、気を失った
ここでこいつらを始末したいがそれは俺の仕事じゃない
何より、早くAを治療しなければ
ムカついた
Aをこんなに傷つけたあいつらに
あんな所に置いていってしまったことに
自分に、ひどく苛立った
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作者名:鳥屋 | 作成日時:2019年10月11日 19時