第十三話 ページ13
次の日、私はまた炭治郎さんの所を訪れた
ちょうど休憩をしていたみたいで、縁側に座って話し始めた。
「そう、村が…」
『私だけが実弥さんに助けられて無事でした
あの時、もっと強かったら弟も守れたのに……
あのっ!鬼殺隊にはどうしたら入れますか?やっぱり、実弥さんみたいに強くないと、入れませんか?』
敵討ちをしたいわけじゃない。
ただ、私みたいに辛い思いをする人が少しでも減ったらと、そう思った
炭治郎さんは自分の経験も混じえて、ここまで来た経緯を話してくれた。
鬼になってしまった妹のこと、人に治したいこと…炭治郎さんは本当にたくさん辛い思いをして、強くなってきたんだ。
「君が、無理に鬼殺隊に入る必要はないと思う
とても、危険だし、君はまだ幼いから……」
『でも、私はっ』
死んでいく家族
静かになった自分の世界
あんなのはもうごめんだ
他の人にも味わってほしくはない
『鬼殺隊に入って、あの人にも恩返しがしたい…』
絶望の縁にいる私を、そこから飛び降りようとする私を、引き止めて、受け入れてくれた実弥さんに
「Aちゃん……」
炭治郎さんの手が私の頭に優しく置かれた
「A」
はっとして顔を上げると、すぐそこに実弥さんが見えた。帰って来たんだ。
『実弥さん!』
炭治郎さんに頭を下げて、実弥さんに駆け寄る。
おかえりなさいと声をかけるが、実弥さんは何も言わずに私に背を向けた。
『待って!!』
歩幅が合わない
実弥さんに追いつこうと走って行くと、すぐに実弥さんの家に着いた。
「話がある、居間に来い」
それは、冷たくて重い声だった
77人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鳥屋 | 作成日時:2019年10月11日 19時