[ハイキュー]弱くて強いやつ[男主] (ページ12)

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その十二、涙と壁ページ12

初めて若利から渡されたボールは僕らの手にはまだ大きくて、扱うのに苦労した
初めて2人で小遣いを出し合って買ったボールはボロボロになるまで使って、今では2人の宝物

それさえも触れなくなっていたのに
こんなにも簡単に、一つ前へ進めた

触れたボールを今度は両手で抱えた
重さ、大きさ、硬さ、全部が懐かしくて恋しかった

ボールの上に雫が落ちる
若利が手を離して心配そうに僕を見た
違うよ、悲しいんじゃない、すごくすごく嬉しいんだ

君とのバレーにまた近づいたんだね

それから、また練習を重ねた
部活でもボールに触れて、少しずつ、少しずつ

それである日、僕は練習後に残る若利にトスを上げてもいいか、聞いてみた
若利は一瞬驚いたけど、少し笑って
頼むと言って、位置についた

少し後ろから若利が僕にボールを投げた
頭上に来るボール
手を伸ばしてトスを………
ボールは、

僕の手ではなく、

床へと落ちた

ボールが手に触れるその瞬間、僕の体が震え上がり、横に尻もちをついた

『はぁっ……はぁ』

呼吸が乱れる
若利が駆け寄って心配してる
大丈夫だって、もう1回やろうって言いたいのに……

僕はまた壁にぶち当たった