その十四、先輩 ページ14
未だに僕は1度もトスをあげられない
毎日挑戦した、その度に手が震えて言うことをきかない
無理するなって、大丈夫だって彼らは言ってくれる
でもそれじゃあダメだよ
だって、今年で終わりなのに、きっと高校を卒業したらみんなとはもうバレーをすることも無くなってしまう
試合に出たいわけじゃないよ、ただ皆とバレーがしたい。そのチャンスが日に日に減っていくのを感じるんだ
今年からより一層若利を中心としたチーム作りが行われた。そして、正セッターになったのが白布賢二郎くん。若利に憧れていると、何度も話をされた
『瀬見くん、悔しくないの?』
「あ?あー、まぁ悔しいけどよ。このチームが求めてんのは俺のじゃない。それに、俺にはサーブがあるしな!!」
瀬見くんと話した時、正直白布くんが羨ましくなった。
でもそれは、白布くんが認められるほど強いからだ。僕にはないセンス、努力…
それを妬むのはいけない事だ
「あの、Aさん!」
『白布くん、どうしたの?』
目の前にはボールを持って立つ白布くん
「俺に、トスを教えてください」
『え?』
「前言ってましたよね、セッターやってたって」
『言ったけど、僕が役に立てることは無いよ』
申し訳ないけどと言って身を引こうとする
「牛島さんが言ってました!どんなトスがいいのか聞いた時、Aさんのトスが1番だって」
若利、そんなこと言ってたのか…
その言葉に少し嬉しくなった。
まだ、僕のトスが1番だと思ってくれているのか……
「だから、知りたいんです。Aさんのトスを!Aさんのトス、見せてください」
白布くんはこのチームの…そして若利のために必死なんだ
だから、僕にこんなにお願いしてきてる
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作者名:鳥屋 | 作成日時:2019年10月18日 17時