甘すぎるお返し ページ26
＊
「ありがとう。大事にするね。」
「え…」
「だって可愛いから、このまま飾っておく。」
「…マジか…」
「え？…ダメ？」
「ダメっていうか、さ…」
ボソッと呟いた彼は…
困ったような、何とも言えない顔をする。
「なに？もしかして欲しかったの？」
「は？」
「あ、違うの？」
「いや、欲しい。食べる。」
「ﾌﾌ…もう、しょうがないなぁ…
一個だけだよ？」
「Aも食べろよ。」
「そうだね。じゃあ、一個だけ。」
何やってるんだろう…私たち。
それがまた可笑しくて仕方ない。
結局、瓶を開けた私はピンクの飴玉を摘まみ上げた。
「俺は水色。」
「えー、奥の方に入ってるんだけど。」
「いいだろ。早く取って。」
急かされるように瓶の中をガサゴソと探って…
ん？
そぉーっと取り出したそれに、周りの世界が止まったのかと思った。
バカじゃないの…本当…。
指先に感じたのは、飴玉でも、それを包むセロファンの感触でもなくて。
手に取ったそれは…
カラフルな飴玉たちよりも、もっとずっとキラキラと煌めいていた。
「それが俺の気持ち。」
「………。」
「え…泣いてる？」
当たり前でしょ。
こんな…似合わないことするから。
「本当はさ、Aが自然に見つけるまで待ってようと思ったんだけど。」
飾っておくって言ったから、焦っちゃったの？
「やっぱり俺にはサプライズとかは無理みたい。」
そう言いながら…
私が選んだピンクの飴玉を口に放り込む彼。
もう、本当に…
「今日からは、それを持ってて。」
ギュッと握られた手と、薬指に嵌められたリング。
これが、今日からの私たちの新しい『証』──
「確認なんだけどさ…
返事は『はい』で、いいんだよな？」
「もう…何の確認…」
そういうところ…
「好き。大好き。
……愛してる。」
「この先も、あんま期待するなよ？」
「うん。大丈夫。」
「大丈夫って…そっか。」
「ずっと一緒に居てくれる？」
「ん。居るよ。」
「可愛げがなくても、いい？」
「可愛いよ、Aは。」
「ウソ…んっっ…」
「…ほら、やっぱ可愛い。」
「バカ…」
「愛してる。」
不意打ちのキスと、私の元に戻ってきたピンクの飴玉。
それは…
とびっきり甘い、愛のお返しだった。
ｰfinｰ
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みなゆき(プロフ) - 兄さんと本当に恋愛してる気がしてすごく身近に感じる表現がドキドキしたりしました。また違うお話しでも萌さんの小説を読みたいです。また戻ってきてくださいね！ (2014年10月7日 23時) (
レス) id: 72b74dd69b (このIDを非表示/違反報告)
LaLa(プロフ) - 完結ですね〜＊楽しく読ませていただきました｡こんな恋愛できたら幸せですね♪幸せいっぱいもらいましたヾ(^^ヘ)ありがとうございました (2014年9月30日 18時) (携帯から) (レス) id: 1c41261f79 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - むふむふふ。私も素直じゃないからなぁ。。。きまり悪い照れ笑い。萌さん最高☆頑張りすぎないで、頑張って下さぃ。 (2014年9月29日 21時) (レス) id: 498d3a83b9 (このIDを非表示/違反報告)
萌(プロフ) - かじゅさん» かじゅさん、コメありがとう。大変な心境の中ってか…私が弱いだけなんだよね。誰に求められてるわけでもないのに、義務感と使命感に勝手に押し潰されるの（笑）だから、暫くここを離れます。またフラッと帰ってきた時には、覗きにきて下さいね(*^^*) (2014年3月29日 0時) (レス) id: 6c8785ec3f (このIDを非表示/違反報告)
萌(プロフ) - あんさん» あんさん、コメありがとう〜。頭に場面が浮かぶとか…私のお話でそうさせられることができてるかな？また読みたいって思って貰えるようなお話が書けるように、暫く充電してきます！帰ってきたときには、またよろしくお願いします。コメ、本当に嬉しかった♪ (2014年3月29日 0時) (レス) id: 6c8785ec3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：moe
| 作者ホームページ：http://www2.hp-ez.com/hp/moenovel/page1
作成日時：2014年3月14日 17時
