ヒーロー科の煉獄さんには前世の記憶があるらしい (ページ3)

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幸せが壊れる時ページ3

『かぁさん？』

嘘だ

『とぉさん？』

嘘だ

「他のヒーローの応援を待つしかないな」

何で？

私が大切な人を守れなかったのは2回目。

・・
また守れなかった

もっと早く思い出せば

母さんごめんね

私のせいだ

「おい！女の子が入っていくぞ！止めろ！」

もう耳には入ってこない

掴んでくる手を思いっきり引き離す

中にいるヴィランを殺す

これからどんなに罵られてもいい

殺人犯と言われてもいいから

家に入ると血の匂い

もう居ないんだ

母さんも父さんも

抱きしめてくれないし

頭を撫でてくれない

「自慢の娘ね」なんて言ってくれない

「おいおい、次はガキかヨ」

こんな奴に母さん達は殺されたのか

許さない許さない許さない許さない許さない

神様、これが誕生日プレゼントなの？
それなら私は貴方を許さない

先日発現したばかりの個性。
母さん達の個性を受け継いでいた

これは人を殺すための個性じゃないのに

そんな思いとは反対に手に黒い炎が上がっていた

ヴィランは殺気に気圧されて怯えている

「や、やめてくれ、謝るから…」

『謝るから…何？』

帰ってくるの？

炎がヴィランの鼻に触れそうになるくらいの
距離になった瞬間

「俺たちは何故人より強いのか分かるか？」

兄の声

「母上は言っていた！
俺たちが強いのは弱き人を助けるためなのだ！」

「弱き人を助けるのは強く生まれた者の使命だ！
A、忘れてはならないぞ！」

スッと涙が流れた

『忘れるなんて妹失格だよ……』

もうとっくに気絶しているヴィラン

ヒーロー達が突撃すると言っている

もう全部全部全部どうでもいい

『偽善者どもが私の家に入らないで』

「え？」

『人殺しって言ってるの』

『母さん達を見殺しにして』

『絶対に許さないから』

炎で脅して母さんの元に走っていく

『母さん、父さんごめんね』

『私が弱いから

いつもいつもいつも』

母さんが持っていた小箱には藤の花の絵が描かれた
花札のような耳飾りと

"大きくなったらつけてね"
と綺麗な字のメモが入っていた

『大切にするよ』

遠のいていく意識の中でそう誓った