なんでなん？ ページ6
轟side.
翌日。いつもより早く教室へ行くと、如月1人だけだった。如月は隣の窓を開け、外を眺めている。風に煽られ、白と赤の髪が揺れた。
＿＿＿綺麗だった。
『お、轟。今日早いね』
「…おう。何してんだ？」
『外が綺麗だったからさ、鼻歌 歌って暇潰してたところ。轟はなんで早いん？』
「なんとなく」
『なんとなくか(笑)』
如月は何か考える素振りをすると、俺の方を向いて口を開いた。
『あ、そうだ。今度俺の祖母さん家行くんだけど、友達も連れてきていいよって言われたから来る？』
如月に祖母ちゃんっていたのか…あ、いやそこじゃなくて。なんとなくだけど如月の祖母ちゃん家って大きそう
『行く？』
「行きてぇ」
何かまた新しく如月の事を知れて嬉しい(気がする)。薄く ふ、と笑うとふいっと顔を逸らされた
なんでだ
「如月の祖母ちゃん優しいのか？」
『あ〜…優しいっちゃ優しいけど…俺にとってはあんまりいい思い出無くって』
「……これ聞くの悪ぃんだが、何があったんだ？」
『ぁ…えと、その………』
「無理に言わなくていい。トラウマを掘り返すのは大変だし辛くなるだろ」
『…大丈夫だよ』
俺は如月の顔色を窺う。特に変化はなく、落ち着いている状態だった。ホッと息を吐くと、如月が口を開くのを待った。
『小さい頃、祖母さんに稽古って言うか…そんな感じのつけられてて。もー失敗したらイッタイの！！他の人と全然遊ばせてくれんかったし。んで泣いたら泣いたで怒るし怖かったんだよね〜…たまに優しくなるのもちょっと怖かったけど』
「…俺と似てんな」
『？ そう？』
「俺も親父に稽古？つけられててさ。ずっと苦しくて。母さんだけが俺の助けになってたんだけどな…あんな事が起きるなんて考えてなかった」
たまにに思い出す記憶。母さんが俺熱湯をかけたこと。親父が母さんを精神病院へと連れていったこと。どれも俺の中では嫌な記憶だ。
『…轟、しんどい想いしてきたんやな。全部溜め込む必要も、背負う必要も無いんや。自分がやりたいようにやりゃあよ？』
「…おう。ありがとな」
如月はそれだけ言うと、再び外を眺め始めた。鼻歌を歌いながら。
如月の歌声は透き通っていて、心を落ち着かせてくれた。
上手すぎだろ おかしい
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作者名：希 | 作成日時：2021年9月13日 13時
