お前が最強だなんて認めない

46 ページ46

「は？」

私達が行くはずだった任務で灰原が死んだと言う知らせを受けたのは任務から帰還してすぐの事だった

「お前も何度も言わせるな…傑が集落の人間を皆殺しに…」

それだけじゃない

別の任務にて出て行った筈の傑が非術師を皆殺しにして死刑対象とされている

「…な…んで」

どうして？よりにもよってあの傑がそんな事するはずがないだろ！

混乱と疑問と怒りが混ざり合う頭の中で

“ごめんA”

先に帰っていた五条がすれ違い様そう言っていたのを思い出す

ああ、これは現実なんだ

負の連鎖ってのは本当にあるらしい

しばしの沈黙の中、既に取り返しがつかない事になっているのだと私は理解した

「…傑は？」

「悟が止めたが駄目だった」

悔しくさで握りしめた拳からは血が流れ目からは溢れんばかりの涙が溢れ出す

相談の一つもきいちゃいない
君の苦しみにすらきずいていなかった

私は友達だったはずでしょ…ねぇ、どうして

「お前には傑を処刑する任務が下されている。」

あの時…私何を勘違いしていたんだろう

呪霊ではなく人を殺す任務

傑を殺す任務

果たしてそれは呪術師の仕事なのか

きっと悟ではなく私に下されたのは

私が適任だったから。ただそれだけ

考えればすぐにわかる事だった

「A…お前呪術師辞めろ」

それに私は知っていたはずだ

あの言葉はきっと私を呪術師として認めていてくれた夜蛾なりの優しさだと…

「おい、何処に行く気だ」

でもね先生

馬鹿な私はまだ信じていたかったんだ

傑の理解者である私が…

私なら…まだ彼を救えると

呪詛師の癖に思ってしまったんだ。

「…離せよ」

「駄目だ。もう俺達にできる事はない」

「俺達？それ違うでしょ…私が行けば灰原は死なずにすんだ。私なら誰が相手だろうと負けなかった…アンタだってそう思ってるはずだ。それなのに今度は目の前の救える筈の仲間も見捨てろと？ふざけんな！お前らの物差しで測った妄想に付き合う筋合いはない。私はお前らとは違う。…私は強い」

「…A」

いつもなら生意気だと一発飛んでくるはずだっただろう

だが夜蛾は否定も肯定もしない

その代わりに私を掴んでいた手をゆっくりと引いて行った

きっとそれが答えだったのだろう

「必ず此処に帰ってくると約束しろ」

「ああ、約束するよ。…例えどんな事があろうとも」

47→←45

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す