-蝶は水面月で羽を癒す-

＃１０ ページ10

最近楽しそうだと姉さんに言われた事、心当たりが無い訳では無い…

楽しそうかどうかは別として、今まで感情の波をコントロールする事が難しいと思った事は無かっのに
最近、それが無意識に外れる時がある…


それは決まって…

しのぶ｢冨岡先生！また散らかして！｣

義勇｢…｣ｼｭﾝｯ

この人と居る時だ

しのぶ｢もう…家とかではどうしてるんですか？｣

義勇｢実家に居た時は姉が…今は自分で片付けている｣

自分で片付けてるって事は、部屋もこの有様って事ね…

しのぶ｢冨岡先生は綺麗に部屋を掃除してくれる恋人とか作った方がいいですよ｣

義勇｢いい…胡蝶が居てくれるから｣

しのぶ｢…///｣ﾄﾞｷｯ

何ですか それ…私が居ればいいなんて

期待…しちゃうじゃないですか……っ

しのぶ｢わ…私は冨岡先生のお手伝いさんじゃないんですからね…！しっかりして下さいよ｣

義勇｢努力はしている｣

感情のコントロールなんて簡単だと思っていた
なのに…冨岡先生と一緒に居ると、調子が狂って仕方ない…

私が私じゃないみたいに、ころころと表情が変わるのが自分でも良く分かる

そして、そんな時間が……

しのぶ｢…///｣

楽しいと思ってしまってる事も自覚してる


分かっている…
こんなのどうみても、私は冨岡先生の事が好きだって言ってるようなもので

でも、私は生徒で冨岡先生は教師
普通に考えて想いを寄せていい相手ではない

だからいつも私は誤魔化す…自分に言い聞かせるように


けど、こうやって先生の一言や…ちょっとした仕草に感情が高ぶる度に 馬鹿みたいに期待してしまう

私しか知らない冨岡先生があるように、きっと…無意識のうちに
冨岡先生にしか見せない私も沢山あるんだろう

その度に私自身も新しい自分を発見しては、楽しくて…

冨岡先生も、同じならいいのにって…

だから少し…ほんの少しだけ期待していたのかもしれない

しのぶ｢…冨岡先生って好きな人とかいるんですか？｣

手元に目線を落としたまま、不意にそんな話題を振ってみた…


もし、この質問に 居るって答えたら…私は一体どうするつもりなのかも分からずに


ただ…いつも突拍子も無い事をする冨岡先生だから、
もしも私達が同じ想いを向けあっているのなら

私が躊躇う立場の壁だって、簡単に飛び越えて来てくれるのではと…


だけど…

義勇｢…あぁ、居る｣

しのぶ｢…っ……そう…ですか…｣

いざ本人の口からその言葉を聞くと、怖くてその先が聞けなくなった…

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