-蝶は水面月で羽を癒す-

＃３０ ページ30

杏寿郎side

週明け初日、その日 我が校にはかつて無い程の大きな…それは大きな戦慄が走った

普段通りに出勤し朝練を終えて職員室に向かうと、半分以上の教師達が顔を揃えていた

杏寿郎｢おはようございます！｣ｶｯ!

いつもの様に入口付近で挨拶をし席に向かった所で、やっと室内の異変に気付いた


…ん？何故か今日は異様に静かだな…

天元｢おい、煉獄…っ｣ｺｿｯ

杏寿郎｢宇髄！おはよう！今日もいい朝だな！｣ﾊﾟｯ

天元｢お前…っ…馬鹿、でけぇ声出すな！何が良い朝だよ…よく見ろ…！｣ｺｿｯ

杏寿郎｢む？｣ﾁﾗｯ

俺の声がでかいのはいつもの事だし、普段なら派手でいい声だと賞賛してくれるのに
今日は何でか怒られ、しかも らしくもなく小声で話し掛けてくる宇髄

宇髄の謎の言動に、言われた通り周りを見てみると…


……ん？

｢｢……っ｣｣ﾋﾞｸﾋﾞｸ…ｯ

何故 皆自席で俯きながら怯えた顔をしているんだ？
いつもなら冨岡が不器用に書類を纏めるのを、不死川がいらいらしながら手解きしたり

それを見てカナエと悲鳴嶼さんが宥めて、宇髄が笑いながら茶化すのが朝の風景なのに……


｢｢……っ｣｣ｼｰｰﾝ……ｯ


普段と違う所といえば、珍しく冨岡がまだ出勤して来てない事と…それから……

杏寿郎｢宇髄、何故こんなにも皆 静かなん………ﾊｯ！｣ﾋﾞｸｯ

何故かと宇髄に問い掛けようとした瞬間、目にした光景にある程度の事を察し言葉が止まる

何より 目に入ってきた光景が、今まで見た事もない信じ難い物で戸惑いを覚えてしまう

俺の目にした物、それは……

カナエ｢…｣ﾋﾟﾘﾋﾟﾘｯ

顔は笑顔なのに、何故かカナエの周りから静かに燃え盛る炎が見える

こ……これは珍しく、かなり怒っている様子…っ

長い付き合いだが 滅多な事で気を立てないカナエが、何をそんなに心を荒立てる事があったと言うのだ

天元｢今朝出勤した時からずっとああでよ…彼氏の不死川に聞いても理由に見当つかないっつーし
普段穏やかな奴がピリついてると怖くて声もかけらんなくて…

俺も含め周りの奴ら皆 さっきから縮こまって気配消してんだよ…｣ｺｿｯ

事情は分かったが、親しくとも あれだけ気迫のあるカナエには流石に俺も……


ｶﾞﾗｧ…

義勇｢おはようございます｣

様子を伺っていると冨岡が出勤


すると、次の瞬間

カナエ｢冨岡くん｣

義勇｢…？｣

｢｢…！？｣｣ﾋﾞｸｯ

カナエ｢ちょっと良いかしら？｣ﾆｺｫｫｯ

義勇｢…！？｣ﾋﾞｸｯ

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