-蝶は水面月で羽を癒す-

＃１４ ページ14

蜜璃side

しのぶちゃんのあんな切なそうな顔 初めて見たわ…

それだけじゃない…冨岡先生と一緒に居る所を見かける度に、今まで見た事の無い表情を沢山しているしのぶちゃんを見た

その表情から物語るのは、お互いを大切に想う気持ちと何にも変え難い暖かな空間


しのぶちゃんの言い方だと、冨岡先生にはしのぶちゃん以外に好きな人が居るみたいだけど…本当にそうなのかしら

あんなに大切そうにしのぶちゃんを見つめる冨岡先生が…？


私はまだ冨岡先生と親しくお話するような仲では無いから、しのぶちゃん程 冨岡先生の事を知ってる訳じゃないけれど…

もしかしたら、しのぶちゃんの勘違いって事もあるんじゃないのかしら

う〜…気になっちゃうわ…っ

小芭内｢……そんなに難しい顔をしてどうかしたのか？

どこか何かわからない問題でもあるだろうか｣

蜜璃｢え？……ﾊｯ！ごめんなさい！な…何でもないです！｣

いけない…折角 家庭教師として小芭内さんが家で勉強を見てくれてるのに、私ったら しのぶちゃんの事で頭がいっぱいで……

小芭内｢もしかして…何か悩み事でもあるのか？｣

蜜璃｢えっと…｣

どうしよう…しのぶちゃんの気持ちを簡単に他の人にお話するのも良くないわよね…

しのぶちゃんと小芭内さんも、煉獄家の剣道場に通っていた時からの知り合いだから 名前を出せば分かってしまうし

でも、何も理由を話さないままは小芭内さんに失礼だし…

小芭内｢…俺では、役に立てない事だろうか…｣

蜜璃｢ち…違うの…！そうじゃないんだけど…っ｣

訳を話せずにおどおどしていたら、自分が力不足なのかと勘違いした小芭内さんが眉を下げるのを見て慌てて言うけど…

蜜璃｢……あのね、私の大切なお友達が…自分の気持ちを押し込めて苦しそうにしている所を見て…とっても胸が痛くて…

でも、本人が諦めている事を確証も無いのに背中を押すのも無責任なのかもって思うと…
何もしてあげられないのが何だか切なくて｣

言える範囲で心の内を話すと、小芭内さんはずっと優しく見守る様にそれを聞いてくれた

小芭内｢そうか…君は幼い頃から人の心に敏感だ

その分、誰かの痛みを汲み取って悲しみを共有してしまう事も多い

だがそれは、共に泣き…共に笑う事もできる
独りではないと感じるだけで救われる時だって必ずあるだろう

そんな時 君の温もりが その人の支えになるはずだ
だから何も出来ないなんて思わなくていい｣

蜜璃｢…っ…小芭内さん…ありがとう…！｣

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