満月の夜 ページ47
「全然空なんて見てなかった。ジェジュン、よく気が付いたね」
「タクシーの中から空を見たら見えたんだ。なんかロマンティックだなあって思って」
私はバスローブを纏って、窓辺に行った。
大きな窓から空を見上げると、真ん丸の煌々と輝く満月があった。
「ほんとにきれい…」
月の下の都会は、どことなく青白く、静かに広がっていた。
深い夜だけれど、街は眠っているわけではない。
私のように、今こうして月を見上げている人間がどれくらいいるのだろうか。
満月の明るい光を受けながら、高層ホテルの下方を見やると、なんだか異次元か別世界に迷い込んだような気がしてくる。
「月って、ほんと綺麗だね。ふたりでこうやって、一緒にお月さんを見るのって、初めてじゃない？」
ジェジュンがバックハグをしながら、私の耳に囁いた。
彼の両手は、私の胴に絡みながら、ゆっくりと胸の方へ移動した。
掻き合わせたローブの隙間から、指先が侵入してくる。
「うん、初めて。こんなお月見ってロマンティック…」
私は冷静に言ったつもりだったけれど、すぐに声はうわずって、しまいには深い吐息になった。
「感じてるね、A… ここ、ほんっとに敏感なんだから…」
明日もライブがあるんだから、もう寝ないと。
そう言おうと思ったのに、言葉が出なかった。
いつのまにかローブは床に落ちて、素肌と素肌がくっついていた。
全身が、熱い。
それほど長い時間ではなかった。
いつしか、私はひんやりするガラス窓に手をついていた。
窓ガラスは私の息で曇って、その向こうにある月が滲んで見えた。
すっかりほてった身体が落ち着いてくると、さすがに窓辺にいるとひんやりしてきた。
私たちはすぐにベッドに戻って、ひそひそ話を始めた。
ジェジュンの腕枕が心地よい。
「あのさ、A、お願いがあるんだけど、いい？」
「何？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桃子(プロフ) - alexisさん» alexisさん、いつもコメありがとうです！最近は全く写真をやっておらずジャズにどっぷりの日々を過ごしています。歌うことは楽しいけど難しい！書くことか度々お留守になるのでごめんない。 (2月27日 17時) (
レス) id: 6efd7186f1 (このIDを非表示/違反報告)
alexis(プロフ) - 桃子さん» 桃子さま！更新？書き直し？と思いながら覗かせていただいてます！ありがとうございます！お元気ですか？ (2月27日 6時) (レス) id: fb104a6d4e (このIDを非表示/違反報告)
桃子(プロフ) - alexisさん» alexisさん、いつもコメントありがとうございます！いよいよJJバンドが登場したのですが、ギタリストを一人の設定で書いてしまっていたので、修正しているところです。やっぱりJJバンドはツインギターでないと！現実と妄想をごった煮にするのが小説かなあと思います😊 (2023年2月16日 22時) (レス) id: 9e9d3df765 (このIDを非表示/違反報告)
alexis(プロフ) - 桃子さん» 体調不良や諸々、難しい時は無理をなさらずに〜健康第一！こちらのジェジュンさんを追いながら振り返る過去…桃子さまの妄想であってもリアルを感じられる不思議は私(達)の妄想・想像に重なるものが多くあるからかなぁと…そのドキドキにワクワクします⤴️ (2023年2月11日 7時) (レス) @page31 id: fb104a6d4e (このIDを非表示/違反報告)
桃子(プロフ) - りんごさん» りんごさん、コメントありがとうございます！続きはある程度書いているのですが、風邪をひいて寝込んだり色々あって、更新出来ずにいました。妄想全開にしてまた頑張りたいなあ。 (2023年2月4日 7時) (レス) id: 6efd7186f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桃子
| 作成日時：2020年5月20日 8時
