安堵の涙 ページ4
手術は2時間半ほどで終了し、今度こそストレッチャーに乗せられた父が手術室から出てきた。
すでに麻酔が覚めていて、目をぱちくりして廊下の天井を見ている。
「手術はうまくいきましたよ。説明をしますので、ご家族でいらしてください」
執刀医の先生がそう言った。
麗子さんとふたりでパソコンのある小部屋に行くと、先生がディスプレイに写真を表示させて説明してくれた。
ステンレスの膿盆に乗った父の大腸も見せてくれた。
麗子さんは小さくひぃっと言って顔を背けたけれど、私は先生の説明を聞きながらじっくりと切り取った内臓を見た。
悪いところは全部取ったし、転移も確認できないという。
心の底からほっとした。
麗子さんを見ると、目にうっすらと涙を浮かべていた。
その涙がすべてを物語っている。
ほんとは、心配で心配でしかたなかったのだ。
麗子さんの涙を見て、なぜか急にジェジュンを思い出した。
脈絡も何もなくて、どうしてなのか自分では全くわからなかったけれど。
もしジェジュンが病気か怪我で入院なんてしたら、どうしよう。
想像しただけで胸が苦しくなってきて、慌てて妙な考えを頭から払いのけた。
私は夕方まで父の病室にいて、家族3人の時間を過ごした。
「Aはもう帰っていいよ。また明日見舞いに来てくれたら嬉しい」
「そうね、私がついてるから、Aちゃんはもう帰っていいわ」
「ついてるって…?ここに泊まるの?」
「そうなんだ。完全看護だからそんな必要ないのに、泊まっていくと言ってきかないんだよ」
手術の直後は麻酔の影響でぼ〜っとすると聞いていたのだけれど、父は普段とあまり変わらなかった。
「パパすごいのね。とても手術直後とは思えない」
「ほんとにまあ、びっくりよね。秋穂さん、気丈なんだから」
娘と妻の大絶賛を嬉しそうに聞いていた父は
「ともあれ、無事に済んでよかった」
そう言って自分で納得したかのように何度か頷いた。
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alexis(プロフ) - 桃子さん» なるほど!さすがです!キシャラギくん(≧∇≦)b (2019年5月15日 12時) (レス) id: d8faaba8f4 (このIDを非表示/違反報告)
桃子(プロフ) - alexisさん» クレカのサインのことはすっかり忘れてました〜 主人公は外国によく行くからサイン慣れしているはずなのにね。たぶん、如月君は日本語のサラサラサインを考えてくれたのかも。 (2019年5月15日 8時) (レス) id: 540ae2064d (このIDを非表示/違反報告)
alexis(プロフ) - サイン…て、カードとかの支払いですることありますけどもージェジュンさん?ヒロインはきっと筆記体でサラサラっと書いちゃったんですねー (2019年5月14日 20時) (レス) id: d8faaba8f4 (このIDを非表示/違反報告)
alexis(プロフ) - 桃子さん» 引っ越しの後片付けで終わりましたチーン(-ω-;) 更新、嬉しいです♪ 妄想…物語。。。素晴らしいストーリーを読んでると毎回、思いますよー想いは真実を引き寄せる…と。現実から目をそらせないほどの信ぴょう性……妄想は想像を超えていきますから! (2019年5月11日 0時) (レス) id: d8faaba8f4 (このIDを非表示/違反報告)
エリカ(プロフ) - 桃子さん♪お返事有難うございました~♪アナザ~スカイ観てました!(笑)JJ が春の桜より眩しかった!(笑)もって生まれた愛されキャラで何もかも上手だけれどそれ以上にブレることなく謙虚に努力し続ける姿がより眩しい人!輝き続けるJJ万歳! (2019年5月10日 23時) (レス) id: 1d7062e30d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桃子 | 作成日時:2019年4月20日 0時