Only Love Part 35

本気で大真面目 ページ29

「私はジェジュンと結婚してもいいのかしらね」

今までAさんに意見を求められることは沢山あったけれど、そんな重大なことを訊かれるとは、正直想像したこともなかった。

こんな時、世間一般の無難なことを言ったり、婉曲な言い回しをすることは、かえって不誠実であることを、僕は知っていた。

最終的に決定するのはAさんなのだから、僕は自分の考えをはっきりと言うことにしている。

「もちろん、おふたりとも愛し合っておいでなのですから、結婚は当然のことかと存じます」

「でも、彼は普通の人じゃないのよ。私が彼の奥さんになったら、熱狂的なファンに何をされるか…」

「ご心配には及びません。お嬢様は私が命をかけてお守りいたしますので」

「如月ったら…」

Aさんはかなり呆れた顔をしたのだけれど、僕は本気で大真面目だった。

Aさんとジェジュン様はお似合いだ。

お互い、生涯の伴侶として、これ以上の相手はいないだろう。

ファンのこと以外に心配なことがあるとしたら、生まれた国の違いだろうか。

日本と韓国の関係が今後どうなるのか、誰にもわからない…

まるで僕の胸の内を読んだかのように、Aさんが言った。

「それに、国同士のことも心配でしょ。国交断絶とかになったら、どうなるのかしら」

「それでは、お嬢様はジェジュン様と結婚なさったら、ジェジュン様に日本の国籍を選択することをおすすめなさいませ」

「国籍？！」

Aさんはティーカップをテーブルに置いて、僕をまっすぐに見た。

「帰化するっていうこと？」

「はい、そのとおりでございます」

「正直、びっくりしたわ。今度、茜に訊いてみる。さすが如月、よくそんなことに気が付いたわねえ」

「恐縮です」

「家族や友人思いのジェジュンが、そんな思い切ったことをするとはとても思えないけど… 祖国を捨てるっていうことは、人生をまるっきりリセットするのと同じでしょう？」

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