手術 ページ3
父の手術は朝の10時開始と聞いている。
麗子さんも矢上さんと病院に向かったとのことだった。
「手術は長くなるのかな。如月と矢上さんは1度家に戻る?」
「いえ、私たちはいつでも対応できるように病院の駐車場で待っております」
「そう?ありがたいわ。ふたりでお茶とかランチして待ってて?」
「はい。ではお言葉に甘えさせていただきます」
如月はそう言って小さく会釈した。
両親はわりと元気だったので、病院という場所にはほとんど縁がなかった。
運のいいことに、私自身も大きな病気をしたことがない。
初めてその病院に入った時、今まで感じたことのない緊張感をおぼえた。
設備は最新式で、機能美と言えるような無駄のない雰囲気を持ちながらも、どことなくアットホームなイメージもただよっている。
父の個室へ行くと、ソファに麗子さんと父が並んで座って楽しそうに話していた。
それは私が想像していたのとは全く違う光景だった。
「Aちゃん、ご苦労様。朝から来てもらって助かるわ」
麗子さんは立ち上がって、父の隣の席を空けてくれた。
「これから手術だっていうのに、全然緊張していないのね、パパ」
「どうせ気絶している間に終わるんだから、緊張も何もないよ」
やがて看護士さんが入ってきて、手術の準備を始めた。
入院着から手術着に着替えさせたり、エコノミー症候群防止のための弾性靴下を履かせたり。
時間になると、看護士さんの先導で、歩いて手術室へと向かう。
てっきり父はストレッチャーに乗せられて行くのかと思っていたので意外だった。
手術室の扉の前で全員が立ち止まる。
「それじゃあ、頑張ってくるよ。さっぱりして戻ってくるから」
父はそう言って、片手をあげた。
「秋穂さん…」
その先の言葉を失ってしまった麗子さんだったけれど、笑顔で父の手をぎゅっと握った。
「いってらっしゃい。待ってるからね」
私はそれだけ言って、父と同じように片手をあげた。
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alexis(プロフ) - 桃子さん» なるほど!さすがです!キシャラギくん(≧∇≦)b (2019年5月15日 12時) (レス) id: d8faaba8f4 (このIDを非表示/違反報告)
桃子(プロフ) - alexisさん» クレカのサインのことはすっかり忘れてました〜 主人公は外国によく行くからサイン慣れしているはずなのにね。たぶん、如月君は日本語のサラサラサインを考えてくれたのかも。 (2019年5月15日 8時) (レス) id: 540ae2064d (このIDを非表示/違反報告)
alexis(プロフ) - サイン…て、カードとかの支払いですることありますけどもージェジュンさん?ヒロインはきっと筆記体でサラサラっと書いちゃったんですねー (2019年5月14日 20時) (レス) id: d8faaba8f4 (このIDを非表示/違反報告)
alexis(プロフ) - 桃子さん» 引っ越しの後片付けで終わりましたチーン(-ω-;) 更新、嬉しいです♪ 妄想…物語。。。素晴らしいストーリーを読んでると毎回、思いますよー想いは真実を引き寄せる…と。現実から目をそらせないほどの信ぴょう性……妄想は想像を超えていきますから! (2019年5月11日 0時) (レス) id: d8faaba8f4 (このIDを非表示/違反報告)
エリカ(プロフ) - 桃子さん♪お返事有難うございました~♪アナザ~スカイ観てました!(笑)JJ が春の桜より眩しかった!(笑)もって生まれた愛されキャラで何もかも上手だけれどそれ以上にブレることなく謙虚に努力し続ける姿がより眩しい人!輝き続けるJJ万歳! (2019年5月10日 23時) (レス) id: 1d7062e30d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桃子 | 作成日時:2019年4月20日 0時