Only Love Part 35

よく頑張ったね ページ13

ふりをしているうちに、本当にあれこれと考えてしまった。

先生はいったいどこであのユニークなヘアメイクさんと知り合ったんだろう…？

ジヒョンさんとは別撮りというけれど、あとでフォトショップで画像を合成したりするのだろうか？

「Aさん、ここらでお昼の休憩にしよう」

先生の声で我に返った。

昼食は車の中でお弁当を食べた。

先生がセレクトしたお気に入りの店の松花堂弁当とかで、本当に美味しかった。

腹ごしらえしたあとは、お寺へと移動。

竹林で有名な報国寺だった。

撮影許可は取ってあるらしい。

竹庭に入ると、さっそく先生が指示を出し始めた。

奥にある休耕庵というお茶の飲める場所の隅を借りて、香菜さんが私のメイク直しをした。

アイシャドウを赤い色に変えたのは、かぐや姫のイメージなのだろうか。

竹林は美しい緑色で、その向こうに紅葉の鮮やかな黄色やオレンジ色が見え隠れする。

癒される景色だったけれど、私は正直、疲労を感じ始めていた。

なにしろ、本格的に撮影されるということ自体に慣れていないし、着慣れない服を着ているし、周囲の目も気になった。

ジェジュンはいつでもこんな感じで撮影されているんだろうな。

そう思うと、これくらいクリアしなくちゃ、という気になった。

いつもは自分が押して聞こえるシャッター音が、離れた場所から絶えず聞こえてくる。

先生は、必要最低限のことしか言わなかった。

私のテンションをあげるような誉め言葉など皆無。

きっと先生の考えがあるのだろう。

私はとにかく撮影されることに意識を集めた。

「はーい、じゃあラストカットいきます」

先生の声がした。

何をもってラストなのかよくわからなかったけれど、私は顔をあげて先生を見た。

シャッター音が1度だけ聞こえた。

「お疲れ様。Aさん、慣れない仕事なのによく頑張ったね。最高に楽しい撮影だった。ありがとう」

先生が握手を求めてくる。

「は、はい。こちらこそ、ありがとうございました…」

変な子ね→←海辺での撮影

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