ブイロクBUSAIKU!? (ページ22)

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雨男先輩 green ページ22

仕事が終わって帰ろうとすると、雨が降っていた。
天気予報では降水確率は低めだったけど、今日は雨が降る気がしてた。
それは、うちの部署でも有名な雨男が今日大切なプレゼンを控えていたから。
雨男の井ノ原先輩が大事な会議やプレゼンを抱えている日は必ず雨が降る。
だから、うちの部署では井ノ原先輩の予定を確認しない人はいない。

まあ、雨も嫌いじゃないしいいんだけど。
お気に入りのオフホワイトの傘をさして、歩き出そうとした時、横から伸びてきた手に腕を掴まれた。

『井ノ原先輩…。』

雨を降らせた張本人は

「傘忘れちゃってさ。入れてくれない？」

って笑ってる。

『雨を降らせてる張本人が何言ってるんですか？』

とツッコんでみるけど、本人は認めてないし、意地を張って傘を持ってこないことも知ってる。

「俺は雨男じゃない！」

頑なに否定する様子が子どもっぽくて思わず笑ってしまった。

「何わらってんの？
　もう、行くよ。」

いつの間にか私の傘を持ってる先輩に腕をぐいって引かれて、傘に入れられた。

雨に囲まれて二人きり。
今更だけどすごく緊張してきた。
いつもと比べて距離がぐっと近づいて井ノ原先輩の色気を感じる。

「Aちゃんさ、髪色変えたよね？」

井ノ原先輩が口を開く。

『分かります？』

気づいてくれるなんて、気にかけてくれてるのかなって嬉しくなる。

「分かるよ、すごく似合ってる。
　…好きだな。」

『え？』

唐突に掛けられた言葉の意味が入ってこなくて聞き返すと、

「俺、Aのこと好きだよ。」

雨の音も聞こえなくなって、世界が止まった。