君と過ごした時間【雪男】 (ページ6)

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壁に掛かった時計は11時を示していた。
一通りやる事を終え、一息ついていると、涼太くんからの電話。

『もしもし？』

「お疲れ様。どうしたの？」

『買ってきて欲しいもの、ないかなって』

「んー、ポップコーン、？」

『んふ、映画、観たいの？』

「正解。笑」

『じゃあ、ポップコーンとノンアル買って帰るね』

「ありがと、気をつけて帰ってきてね」

つー、という音と共に切れた電話。
私の考えている事を手に取るようにわかる彼は、心強い理解者。
女の子の日が来てもすぐに察して、温かいものを作ってくれたりする。
たぶん、私のみたい映画もわかってる。
涼太くんのことを想いながら待つ時間はすごく早くすぎる。
がちゃ、と鍵が開く音がして、次に聞こえてきたのは大好きな声。

「ただいま」

「おかえり、お疲れ様！」

「ふふ、ありがと」

ぎゅ、と抱きしめられて、いつもの匂いに安心する。

「映画、前観たいって言ってたやつでしょ？」

「ふふ、正解。流石涼太くん」

「何年Aの彼氏やってると思ってるの」

「ずーっと！」

「…かわいいなぁ、」

くしゃりと目を細めて微笑む彼の笑顔は、私の宝物。

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