君と過ごした時間【雪男】 (ページ5)

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赤色の彼ページ5

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「涼太くん」

声をかければ「ん？」と爽やかに、でもどこかエレガントに振り向く彼。
その顔に浮かべた笑みは、優雅に微笑む貴族を彷彿とさせる。

「なに。呼んでおいてなんでもない、みたいな？」

「んーん、明日、仕事？」

「午前中だけだよ。午後は、休み」

「じゃあ、一緒にゆっくりできるね」

「ふふ、そうだね」

ふわりと頭を撫でられる。
涼太くんは私の髪をすくのが好きらしい。
さらさらで、触り心地がいいんだって。

「頑張ってね」

「いい子で待ってるんだよ？」

「子供じゃないよ？笑」

「知ってる。外出る時は気をつけてね？」

「毎回言ってる、それ。笑」

「心配なんだから、A、可愛いし」

「…涼太くんにしか着いていかないもん」

「そんな可愛いこと、言わないで。出掛けらんない」

ぎゅ、と私を抱きしめて、首あたりに顔を埋める。
しばらくして、「行って来るね」と額にキスをして家を出る。
いつもされているルーティンだけど、いつまで経っても慣れない。
ついさっき出て行ったばかりの彼の帰りを、もう楽しみにしている。

「…はやく、帰ってこないかな」

広い家には私とレインボーローズだけ。
独り言は寂しく冷えた空気に溶けた。

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