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時間は飛ぶように過ぎ去っていく。
やっと始まった、と思った冬休みも、気づけばあと3日。
終わっていないワークを机に広げ、取り掛かろうとした時、インターホンが鳴った。
お母さんは丁度買い物に出ていて、しょうがなく玄関に出て扉を開ける。
「お、よかった、おった。」
「…康二やん、どーしたん。」
「ワークの答え、無くしてもうたから、見せてもらいたいんやけど、ええ？」
「まーた、物無くしたん？」
「しょーがないやん、見せてぇや！」
「今お母さんおらんから何も出せへんよ？」
「それ目当てで来とらんわ！笑」
鼻の頭を赤くした康二を家に入れる。
「お邪魔しますー。」と大声で言うのは昔から。
「やっぱ落ち着くなぁー、第二の家やわ。」
「勝手に康二の家にせんとって。」
「昔っからよく来てるから尚更なんやもん！」
「無駄口叩いてないで、ほら、答え。」
「さっすがA！助かるわぁー。」
人の気も知らないで、とぼやきたくなるのを我慢して、私も残っているワークに取りかかる。
お互い何も喋らず、数分。
横から視線を感じて目を向けると、康二がじっと、こっちを見ていた。
「…なに。」
「…喋るの、久々やなって。」
「まぁ、そう、やな。」
「近くに居るのも久々。なんか、Aロス、なりそうやった。」
「…ならへんよ、そう簡単に。」
「Aは、俺と一緒に居るん、嫌やった、？」
嫌なわけない。むしろずっと一緒にいたい。
不安そうに見詰める康二から目が離せなくて、首を横に振る。
ぐいっ、と強い力で引き寄せられる体。
何が起こったのかわからず、「え、」と声を漏らす。
康二に抱き締められた。そのことを理解するまで数秒。
康二は私の肩に顔を埋め、背中に回した手の力を少しだけ強めた。
「…っ、康二、」
「…俺も、好きやしっ、あほ。」
「…ぇ、」
「…ずっと一緒に帰って、たくさん話してたのに、急に距離取られて避けられた。
めっちゃ、寂しかった、」
ぐっ、と耳に康二の顔が寄る。
「こ、うじ、？」
「あん時の返事、させてや。」
「俺だって、ずーっと好きやった。この鈍感。」
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作者名：もも | 作成日時：2024年3月14日 13時
