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37話 ページ39

あの涙の日から数週間後…

シルクたちが今回の事件の詳細についての動画を公開することを正式に決めた。

実際に動画を撮影するのは今日。

お昼すぎにメンバーが面会に来るらしい。

化粧をする元気は無いため髪だけ整えて待つ。

あの日刺された傷は手術で塞がれているけど、違和感が残っていて普通に痛い。

笑うと痛いんですよね、ははは。

鏡とくしで髪を整えていると、充電していた携帯が鳴る。

シルクと書かれた画面をタップして電話に出る。


「もしもし?」

『あ、起きてた。ごめん寝てるかなって思った。』

「朝の健康観察があるから早く起こされるのー。最近お昼まで寝れてないんだ。」

『お前寝ないとやばいのにね。あ、そうそう。そろそろ向かおうと思ってたんだけどもう行ってもいい感じ?』

「あ、うん、15分くらいかかるんだよね?あと少しで準備終わるしちょうどいいよ。」

『お、まじ?了解。じゃあ今から向かうわ。』

「はーい、待ってまーす」


話が終わって切ろうと思った矢先、小さな声で『まって』と聞こえて指をとめた。


「ん、なんか言った?」

『あ、いや、モトキが変わって欲しいって。』

「え、電話を?なんで?」

『わかんねぇ』

「珍しいね」

『とりあえず代わるわ。』

「ほーい」


電話を代わってまで話すことなんてないから少し驚いた。

電話自体は珍しくないけどさ。


『あー、えっと、もしもし?』

「もしもし?どした?急ぎの要件?」

『あ、いやそこまで急じゃないんだけどさ。』

「うん、どした?」


あーとかうーとか言いながら全然喋らない魁に少しずつもやもやしてくる。

なに、気になるやんけ。


「もーなに??なんかあるならはっきり言ってよー。」

『あのさ、その…』

「なに?」

『無理、させてない?』

「は?」

『いやほら、動画にしたくないってすごい言ってたから無理してないかなって思って。』

「あー、別に平気だよ。公開して欲しくなかった理由はもう無くなったし。」

『あれ、そうなの?』

「だって、魁は…というか魁たちはずっとそばにいてくれるんでしょ?」

『そりゃもちろん』

「なら全然いいよ。むしろ魁たちはいいの?って感じ」

『俺たちは最初から公開したい側だからね??』

「あ、そっか」


それなら良かった、じゃあまた後でねと残して通話は終わった。

もう怖くないよ、魁。

だって、不安が消えるまで、なんなら消えても一緒にいるよって抱きしめてくれた時のあの魁の匂い、しっかり覚えてるから。


続編に続く

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設定タグ:フィッシャーズ , モトキ , 幼馴染   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ますもも | 作成日時:2023年3月12日 23時

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