35話 ページ37
モ「なんで、そんなに公開したくないの？」
ウ「…引かない？」
モ「うん。」
ウ「嫌いにならない？」
モ「うん。」
ウ「面倒くさがらない？」
モ「うん。」
ウ「絶対？」
モ「絶対。」
ウ「……諒たちには、まだ、い、言わないで。」
一瞬戸惑った顔をしたけれど、数秒考えたあと、分かった。と頷いた魁。
話していいのか、話さない方がいいのか、そんなの分かりっこない。
だって私は神様でも仏様でもない。
シルクのようにまとめる力もないし、
マサイのように優しくもないし、
ンダホのように前向きにはなれないし、
ザカオのように明るくできないし、
ダーマのように面白くもないし、
モトキのように心が綺麗じゃない。
そんな私のこんなドロドロした不安なんて吐き出したらいらないって思われないかな。
いや、別にシルクたちがそんなこと言う人じゃないなんて分かりきってるんだよ？
何年も何年も一緒に過ごして活動してきて分からないほど馬鹿じゃない。
でも、だからこそ怖いんだ。
ここまで一緒にやってきたのに今更必要とされなくなるかもしれないって思うと怖いんだ。
だって私はみんなと違って女だし、パソコン扱う技術もないし、編集スキルだって普通だし、トーク力もなければ運動神経が言い訳じゃない。
何も取り柄がないからこその恐怖がみんなに理解してもらえるか、受け止めてもらえるかが不安なんだ。
罵倒とか軽蔑のことを恐れてる訳じゃないと言ったら嘘になるけど、どちらかと言えばそっちじゃなくてそばにいられなくなるかもしれないというこの「可能性」に怯えてる。
こちらをじっと見つめる魁の瞳を見れば分かる。
多分、勘付いてる。
メンバーの中でもいちばん長いこと一緒にいる幼馴染だもん。
わかっていても無理は無い。
見つめられると嘘が付けなくなるこの瞳に、私は泣きながら発した。
ウ「みん…なに、迷惑がられるのが、こわ、い…」
モ「……」
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作者名：ますもも | 作成日時：2023年3月12日 23時
