Fischer's・ウノ (ページ36)

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34話ページ36

魁に、もうここには俺以外居ないと言われた瞬間、頑張って耐えてたはずの不安や恐怖が溢れ出した。

迷惑かけるから、泣き止まないといけないのに、目から溢れる涙はずっと耐えていた怖さを表しているかのように溢れ続ける。

止まって、止まってよ…

ウ「ごめ…っ、泣き止む…か、ら…」

モ「…………。」

目元を拭いながら必死に紡いだ言葉を聞いて、魁は明らかに怒りを表した。

やっぱり怒らせちゃってる。

とにかく早く泣き止まないと、そう思えば思うほど上手くいかなくて、嫌だと言うように逆に溢れかえる。

あぁ、そっか。

嫌なんだ。

魁を怒らせた事が。

怖いんだ。

嫌われたかもしれない事が。

私こんなに感情に正直だったっけ？

ねぇ、お願い、止まって、

モ「ねぇ、」

暖かくて、いつもみたいに包み込んでくれるような優しい口調じゃなくて、

冷たくて、まるで突き放すような怖い口調で話し始める魁に、自然と肩がビクついた。

ウ「……っ」

モ「何で、1人でいっつも抱え込むの？」

ウ「え……？」

思っていたような冷たい言葉ではなくて、優しさと怒りを含んだ疑問を投げかけられた。

想像と違いすぎて戸惑いが隠せず、少しだけ涙の勢いが止まった。

モ｢泣けばいいじゃん、怖かったなら。もっともっと感情に素直になりなよ。我慢しても耐えても、俺は嬉しくないしむしろ心配になるし嫌だよ。」

ウ「え……え、？…」

モ「まさかとは思うけど、泣いたら迷惑かけるとか面倒なやつと思われるかもとかは思ってないよね？」

図星を刺されて何も言えなくなった私を見て、魁はため息を吐いたと同時にベットの横にある丸椅子に座った。

小さい子供が悪いことをした時にお母さんが優しく、でもしっかりと叱る時みたいだ。

ホントの気持ちを話したら、きっと魁も諒も、みんな離れていっちゃうから。

何があっても隠し切るって決めてたのに。

魁を目の前にすると、どうしても、嘘が付けない。