30話 ページ31
オペを終えた医者がマスクを側近の看護師に預け、こちらを向く。
額に汗をかいていて、直ぐにでも拭いたいだろうに、Aの状態についての話を始めてくれた。
医者「お待たせしました。加納さんですが、状態は、はっきりいって良くありません。」
止まっていたはずの冷や汗がまた湧き出す。
良くないってなんだ?
どう良くないんだ。
もう持たないのか?
刺された部分が悪かったのか?
血が足りないのか?
何がダメなんだ?
頭を不安要素ばかり駆け巡って、目眩がする。
そんな俺を見て、シルクが肩を少し強く叩いた。
シ「少し落ち着けって。あの、良くないって、具体的には?」
医者「はい。幸いにも、凶器が小さいナイフだったので、傷口自体は大したことはありません。問題は、刺された箇所です。肝臓を刺されていて、出血量があまりにも多く輸血が間に合っていません。何とか繋ぎ止めていて、ギリギリといった状態です。」
やっぱり、床に倒れたAの血が黒いと感じたのは、変なところを刺されたからなのか。
メンバー全員が黙り込み、重く暗い雰囲気が漂う。
すると突然、シルクが医者に聞いた。
シ「あの、意識って戻りますか?」
医者「………。」
ン「急にどうしたの?」
シ「危険な目に合わせたこと、ちゃんと謝りたい。」
__それは、多分シルクじゃなくて俺の役目だ。
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作者名:ますもも | 作成日時:2023年3月12日 23時