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22話 ページ23

ガチャりと無機質な音を立てて扉が開く。

こんなにも扉を重たく感じたのは初めてだった。

まず先にモトキを家の中に入れる。

そしてそのすぐ後ろに私がついてほぼ同時に家に入る。

後ろを振り向いていないから、あの男の人がそのまま808号室を通り過ぎたのか、戻って行ったのか、留まり続けているのか分からない。

とりあえず怖いっちゃ怖いというか普通に怖いし怖いのでドアが完全に閉まったことを確認し、「え、なんかすごい俺の事警戒してるじゃん」って分かっちゃわないくらいのスピードで鍵を閉めて一応チェーンもかけといた。

モトは着ていたパーカーを脱ぐために靴を脱いだら直ぐにリビングへ向かったので、私のこの警戒体制をまだ見られていない。

多分気付かれてないはず。多分。うん。

勘が鋭いからなぁ…モトは。

モトキが完全に冷蔵庫からお茶とカルピスソーダを出してコップのサイズを選んでいることを確認する。

恐らく少しの間くらいはリビングに留まってくれるだろう。

本当は普通に怖いけど、ドアのスコープに近づく。

もちろんこのマンションはセキュリティはすごい十分すぎるし、壁が薄くて隣の部屋に撮影中の騒いでる声が聞こえて騒音問題に発展するとか、YouTuber特有の発生しがちな問題をカバーしてくれるマンションだ。

もちろんドアだって分厚くて頑丈。

普通はただの冷たいドアかもだけど、うちのマンションのドアは素敵なことに見た目が木なのだ。

木と言われると少し心許なく感じるけれど、そんなことない。

ホントがっしりしてて頼りがいのあるドアだ。

つまり、こちらが警戒を続けていてドアから覗こうとしていることは外にいるかもしれないあの変人(仮)にはバレない可能性が高い。

大丈夫。

きっともう居ない。

やたら綺麗なマンションの廊下や手すりしか見えない。

最近物騒なニュースとか事件が多いせいで変にビビってるだけだよ。

スっと見てスっと安心してバッとゲームして寝よ。

今日こそモトよりもいいエイムしてやる。

マイクラするなら絶対モトよりも先にダイヤ見つける。

テトリスも勝ってやる。



そんな軽い気持ちでスコープを覗いた。



スコープに目を近づけてから思い出した。



「スコープは、道具を使えば外側から見ることも不可能では無い」

そして、

「部屋に明かりがついている状態でスコープを覗いた場合、光が体で遮られてしまい、スコープから漏れていた光も遮られる。よって、相手側に覗いていることはバレてしまう。」

ということに。

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設定タグ:フィッシャーズ , モトキ , 幼馴染   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ますもも | 作成日時:2023年3月12日 23時

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