妹と昔 ページ43
賢二郎side
俺の妹は可愛くない
昔はしつこいくらいに後ろを着いてきて
おにいちゃんと縋ってきていて
確かに可愛いとは思っていた
1歳しか変わらないから
物心着いた時にはもうコイツは隣にいて
セットで扱われることがほとんどだった
俺じゃなくたって兄はもうひとりいる癖に
年が離れてるからなのか
兄貴の方にはあまり懐かないで
甘えたり頼ったりするのは俺ばかり
人にベタベタされるのが嫌いな俺でも
大事で可愛いたった1人の妹から
俺だけを頼りにされるのは
やはりどんな時でも気分は良くて
おにいちゃんと呼ばれるその度に
面倒くさそうな顔をしつつも
先を歩いていれば止まるし
コケてしまえばそこまで戻るし
泣いていれば頭を撫でた
そしてその都度必ずアイツは言うのだ
「ありがと、おにいちゃん」
「大好き」
幼稚園で他の女子から賢二郎くん大好きだの
結婚しようねだの言われてきたのに
妹から言われたというだけで
その言葉だけはなぜか重たく感じて
どんなに喧嘩してても許してしまうのだ
歳を重ねるごとに俺への態度はみるみる冷たくなって
最近ではお兄ちゃんなんて可愛くは呼ばない
生意気にもお前だとか名前呼びがほとんどだ
双子が生まれて喋るようになって
俺の事をにーちゃんと呼んでも
妹の時ほど喜べなかった
弟のことだって妹に比べるまでもなく大切なのに
妹と言うだけで全然違った
だから、仕方がないんだ
無意識だろうとなんだろうと
昔のように可愛くお兄ちゃんなんて言われてら
昔の癖が出てしまうのは
「……にい、……ちゃ」
「……普段からそう呼べばいいのに」
あまり美容に詳しくない俺でもわかるほど
さらさらで真っ直ぐな髪を持ち
大きいとは言えないはずの
俺の手で覆えてしまうほど小さい頭を
優しく撫でるのはいつぶりだろうか
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ぬぬ - ウインナーのくだりで察してしまい吹きました、、 (12月19日 16時) (レス) @page17 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ますもも | 作成日時:2023年10月22日 3時