お兄ちゃんと妹【白布賢二郎】 (ページ19)

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お兄ちゃんと涙ページ19

　
　
　
　
「それで？なんで勝手に食うわけ？」

「昨日はおやつがなかったから…」

「明日まで待てなくて…」

「そんな理由でこの家でいちばん怒るとめんどくさいやつのタルト食ったんだ？」

「ね、ねーちゃんのって知らなかったんだもん」

「名前書いてなかったし」

「誰かに聞けばいいだろ」

「…寝てたんだもん」

「…母さんもいなかったし」

「だったら食うなよ。少し考えればわかるだろ」

小4 VS 高校生

そんな口喧嘩なんて勝敗は目に見えている

素直に謝らずに言い訳を並べると

賢二郎の説教は長くなるんだけど

そんな事この双子は知らないから

何とか見逃してもらおうと

嘘を混じえながら誤魔化してばかり

もちろんその嘘をこの人が

見抜けない訳もなく

それがコイツを余計にイラつかせるのだ

「大体な、夜中におやつなんて食っていいわけないだろ。なんでそんなこともわかんねぇの」

「……だって！」

「だってじゃねぇよ。ダメなもんはダメなの。幼稚園児かよ」

「…〜っ！」

あぁ、めんどくさい

双子の弟の方(夏樹)は昔から泣き虫なのだ

賢二郎が少し責めただけで大泣きする

今だってもう泣く寸前だ

兄の方(春樹)はそこまで泣き虫では無いけど

弟の方が泣くとつられて泣く

被害者本人がもう許しているのだから

これ以上の説教は意味が無い

弟の涙を拭くためのティッシュを数枚持って

床に座らされている2人の元へ近づいた
　
　
　
　
　