お兄ちゃんと妹【白布賢二郎】 (ページ16)

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お兄ちゃんと寝落ちページ16

　
　
　
　
前髪からポタポタと

水滴が落ちてくるが

乾かす気分にもなれないので

そのまま部屋に戻った

寝ているだろうアイツを気遣って

静かにドアの開け閉めをしてあげた

電気だって付けずに

携帯のライトを足元に照らすだけにしてあげた

こんなに優しい妹はもっと大事にした方がいいと思う

部活を引退してから既に3ヶ月

見るからに筋力が落ちた

実はそこそこショックだったりする

苦労して割った腹筋が

ぷにぷにし始めているのだ

嬉しい人などいない

ギジリと音を立ててベッドに腰かけると

同じタイミングでコイツは寝返りを打った

起こしたのかと焦ったけど

呼吸が穏やかだから

まだ寝てるんだろう

この部屋には

ヘアアイロンやメイク道具が置いてある

もちろんドライヤーも置いてある

本当なら乾かした方がいいんだろうけど

横で寝てる人いるし

何より今日はもう眠ってしまいたかった

まだまだ水気を含む髪の毛を

枕に散らばせて

私は無理やり目を閉じた

「…………ったく、乾かせよ」

そんな声は

寝落ちした私には聞こえなかった
　
　
　
　
　