お兄ちゃんと妹【白布賢二郎】 (ページ14)

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お兄ちゃんと我慢ページ14

　
　
　
　
「お願い！！もう食べない！二度と勝手にねーちゃんのおやつ食わないから！！」

「けんじろにーちゃんが怒ると怖いの知ってるでしょ！！」

「俺たち外出禁止になっちゃう！」

「おやつも禁止されちゃう！」

「ゲームも！！」

「マンガも！！」

「知らないよ。勝手に食べたのが悪いんでしょ」

いつもはここまで怒らないんだけど

なぜか今日は許せなかった

担任から比較されながらの進路の話

アイツからの冷たい態度

そんなものが今になって辛くなったのだろうか

だとしたら笑えてしまう

悲劇のヒロインなんて私には似合わないのに

「……次、やったらお父さんに言うからね」

「！！流石ねーちゃん！」

「やっぱ優しい！！」

けど、やはりこの弟たちの前でだけは

優しくて融通の利くお姉ちゃんでいたかった

だからいつも弟たちが何かやらかしても

私が我慢する

お姉ちゃんだから当然と

誰かに言われた気がするけど

言われすぎて

誰に言われたかなんて

覚えていない

誰にも言わないであげる変わりに

明日のお風呂掃除を変わらせることにした

怒られることがないと安心しきった弟たちは

呑気にオレンジジュースまで飲んでいる

私は食べっぱなしになった

タルトのお皿を片付けて

晩御飯を食べることなくお風呂に入った

なぜ食べなかったかって？

だって残ってると思って覗いた鍋の中は

見事に空っぽで

ぷはぁとコップから口を離した

春樹と夏樹の口元に

ビーフシチューが付いていたからだ

おやつどころか

晩御飯まで食べられてしまった

別に耐えられない空腹ではなかったから

怒ることもなく

早く寝なさいと寝室に追いやって

私はシャワーを頭から被った

シャワーの温度が冷たいままなんて気が付きもしない