お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

お兄ちゃんとイケメン・イケボ ページ47

　
　
　
　
｢スマホ持ってないし、地図読めないし…んあああ！
夏樹とか絶対泣き出す…春樹も……あああ｣






双子とはぐれて約20分が経過した




双子は連絡手段がないし待ち合わせ場所も決めてない




地図読むとか馬鹿だし無理だと思う




頼れる知り合いなんて東京にいるわけないし




流石にお母さんに連絡した方がいいかな




いやでも意外と近くにいるかもだし余計な心配は…




ぐるぐる考えながら歩いているとふと視界が暗くなる




なんだ、と顔を上げるとそこには




真っ赤なジャージを着た変な髪型のお兄さん






｢……ピァッ！？｣




｢すんごい特殊な驚き方ネ、お嬢さん｣




｢いや、あの、………うぇ！？春樹！？｣




｢お”ねぇじゃあ”あ”あ”あ”あ”｣




｢いや、うんそりゃ泣くと思うけど夏樹は！？｣




｢た、倒れて、血流して、それでっ、｣




｢血！？血ってなに！？どこから！？頭！？え！？｣




｢ちょ、落ち着きなって。坂道で転けて膝から血出しただけだから。｣




｢…あ、よかった…ところで、あの、どちらさま？｣






若干人見知りがちな春樹がここまで懐いているのは




姉として初めて見たし驚いている




私にすらそんなに近づいてくれないよね君！？




巨体におかしな頭に無駄にいい顔と声




巷で最近人気のあれ、なんだっけ、あの人




お疲れサマンサ！っていう人になんか似てる




クラスの友達がイケメンイケボのクズって騒いでたけど




多分似てるわ。よく分かんないけど






｢声に出てるよ。イケメンイケボはいいけどクズは嫌よ。｣




｢あっ、ごめんなさい、ちが…褒めてます！｣




｢ふはっ、まぁいいや。とりあえず弟2号くんのとこ行こっか。｣






泣きじゃくる春樹を抱えたものの




見知らぬ男の人への警戒心があり対応に困っていると




あ、俺大人じゃないから。高校生だから。安心してね




と運動部のジャージを見せびらかしながら言われて




安心して後ろを着いていった




どこかのカフェにでも入るのかと思ったのに




行き着いた先はまさかの






｢……なぜ学校？｣




｢俺が今練習してるところだからだよ｣






ボールが地面に打ち付けられる音と




シューズが擦れる音が聞こえたのは気のせいですよね？
　
　
　
　
　
　

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