お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

お兄ちゃんとスパイ ページ42

　
　
　
　
｢なぁなぁ、ロードワーク終わったあとで暑いし…ちょっとだけ覗いていこうぜ！｣




｢行きたいなら自分だけ行きなよ脳みそ小学生。キャプテンに叱られても知らないよ｣




｢なっ、なんでそんなこと言うかね！？｣




｢んーでも汗まみれでプール入るのは他の人が嫌がるよ？｣




｢確かに……ってあれ、泳いでない人もいる……ぅわああああ！な、なんか黒い！スパイみたい！｣




｢な、どこの高校だ！？青城か！？｣




｢そんな馬鹿なことする訳ないでしょ｣






日向くんの声にギクリと肩が震える




なんで見つけるかな、日向くん




できる限り空気になってたのに




バレます？バレちゃいます？




いやでも聞こえてないフリすれば…なんとか…いける






｢あっ、高校生だ！！こんにちは！！｣




｢おう！こんちは！！小学生？｣




｢そー！泳ぎに来たの！｣




｢あれ、小学生以下って保護者同伴じゃなきゃダメじゃなかった？君の親御さんは？｣




｢ねーちゃんならいるよ！ねーちゃああん！｣




｢やめてやめてやめてやめてほんと呼ばないで｣






ゴーグルを外してでかい声と動作で私の名前を叫ぶ春樹




おかげで1年生4人組の視線は見事こっちに向く




メガネの人は｢あ、この人やばい人だ｣みたいな顔してるし




その隣の人は目がパンダになってる春樹にびっくりして




日向くんは私の防御力に驚いているし




影山は……なんだその顔






｢……誰だ、お前。体格的に高校生だろ｣




｢え、そうなの！？大人の人かと思った…｣




｢…いやぁ、ほんとはバレたくなかったんだけどね｣




｢その声っ、Aか！？｣




｢えっ、白鳥沢の美人！？なんで！？｣






挨拶のために、とサングラスとフェイスカバーを外し




ぺこりと頭を下げれば4人とも会釈をしてくれた




弟の保護者役で来ていると話をしたら




どこも焼けなさそう！と言う感想を頂いた




そりゃよかった。






｢影山たちは部活？すごいね〜、休み無しだね｣




｢今から練習試合なんだー！｣




｢へぇ、強いとこ？｣




｢ふっふっふっ、なんと！東京の強豪と！！｣




｢東京！？うへぇ、影山たちって凄かったんだね…｣






頑張る！と意気込んで体育館へと戻って行った影山たちは




随分とやる気に満ち溢れていて私は少し羨ましかった






｢……私も、バレー続けてたらなぁ｣






そんな独り言はセミに食べられて消えていった
　
　
　
　
　

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