お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと声 ページ41

　
　
　
　
｢ぷーるぅ！！｣




｢ハルくんのお姉ちゃん着いてきてくれてありがとー！｣




｢ここちゃんはいい子だね。うちの妹になる？いっぱい可愛がるよ？ん？なる？｣




｢ならないっ！ここには大好きなお兄ちゃんいるから！｣




｢あ、そう。羨ましいわ。｣






麦わら帽子に日焼け防止のアームカバー




オマケに遮光性抜群のお高めサングラス




こんだけ紫外線対策しとけばシミひとつできないだろう




スマホとモバイルバッテリーとミニうちわと




小さい保冷剤を数個持ってきた私は天才か？？






｢プール開きって言っても、まだ普通に寒いからね。長いこと入れないよ？｣




｢えーなんで？暑いよ？｣




｢馬鹿だねナツくん。水はね、アツアツ太陽の温度を吸収しても実際にぬるくなるのは夜なんだよ。昼間はキンキンなんだよ。｣




｢おっ、ここちゃん物知りだね〜｣




｢お兄ちゃんが教えてくれたのっ！｣




｢あ、そう。優しいおにーちゃんだね〜｣






元気に服を脱いで水着と帽子とゴーグルをつけたみんなは




バリバリに泳ぐ気満々らしく




元気だなーとつくづく思う。






｢あ、ふざけて溺れるマネとかやめてね。私そんな器用な判断できないから。普通に焦って飛び込むから。｣




｢それけんじろにーちゃんにも言われた｣




｢Aには演技通じないからなって｣




｢……腹立つ〜｣






見学者が座るであろう日陰のベンチに腰をかけ




じゃぶじゃぶとあそび始めた小学生を盗み見る




ここちゃん、君にはビキニ早いと思うんだ私




せめて、中学生になってからに、しない？




最近の女の子の｢大人意識｣の高さに驚きつつ




早くもなり始めているセミの声に苛立った




なんであんなにうるさい鳴き声なのかね、セミって




そしてその10数秒後、




セミの何倍も聞きたくない声がやってくる






｢あっ！見ろよ！プール！水張ってあるぞ！｣




｢プールごときで喜ぶなんて、精神年齢まで小学生なの？キミ｣




｢だよねツッキー！｣




｢なんだと月島ぁ！山口は昨日プールの話一緒に盛りあがっただろ！｣




｢プールはまだ寒くねぇか｣




｢なんだなんだ影山クン〜、寒がりなのかな？？｣




｢んなわけねぇだろ日向ボケェ！｣



















｢……ｽｩｯｰｰｰ………帰りたい。｣
　
　
　
　
　

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