お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと"なま" ページ38

　
　
　
　
｢あ、岩泉さん、これ青城のタオルです。足りなかったらまた言ってください｣

｢牛島さん、靴紐緩んでますよ。危ないので直してくださいね｣

｢金田一くんサポーター付け忘れてない？｣

｢五色くん今日のサーブちょっと悪いね。力入りすぎてるかも。｣

｢天童さんそれ賢二郎のボトルです｣






｢……すげぇな、あいつ。｣




｢あれで正式なマネじゃねぇんだとよ。臨時マネ｣




｢マジかよ｣






せっせと働く私の耳に飛び込むそんな声は




疲れた体を癒すのに最適だった




良いマネージャーとして貢献出来ているなら




夏休みを返上してまで手伝った甲斐もあるってものだ




喜びのあまりにやけそうになるのを抑えつつ




バインダーに記録用紙を挟んで準備する




次の試合で5セット目だ






｢A、お前も水分取れ｣




｢え、喉乾いてないからいいよ｣




｢うるせぇ飲め｣




｢んぐっ｣






後ろから見慣れた腕とボトルが出てきて




飲み口を私の口を目掛けて突っ込んだ




歯にあたって地味に痛いんですけどこのくそ兄貴






｢……ぷぁ、いきなり突っ込むな馬鹿、痛いじゃん｣




｢初めてじゃねぇし平気だろ｣




｢いきなりは痛いの。ちゃんと丁寧に入れてよガサツ男｣




｢あ？だったら次はナマでぶち込むぞ｣




｢そんなことしたら本気で殴る｣






ギリギリと睨み合うと周りがこちらを見ていた




……え、なんで？






｢け、賢二郎！？ナ、ナマとか！妹にナマとか！！｣




｢慣れてるって何！？え、お前ら経験済みなの！？｣




｢は？何の話だよ｣




｢Aちゃん！？！？代替品って言ったの土下座で謝るから嘘って言って！？！？｣




｢及川さんまで何ですか。｣






兄妹2人して何を言っているのか理解出来なかったけど




賢二郎は考え込んだ末に閃いた顔をして




珍しくお腹を抱えて笑いだした






｢…っく、はは！ちげぇよ！妹相手だぞ？笑笑 ナマってスポドリの粉の事だから！あー腹痛てぇ、なんつー勘違いしてんだよ笑｣




｢え、全くわかんないどゆこと？｣




｢お前は知らなくていい。知ったらどうせお前俺の事殴るし｣




｢はぁ？｣






誤解が解けみんな納得が言った様子で試合を再開したけど




私だけが置いてけぼりだった




そして練習試合が終わって片付けの最中に




国見くんが教えてくれた






｢おにーさんとそういう事してると思われたんだよ、お前｣

｢……は！？なんで！？！？｣

｢ナマとか突っ込むとか言うからじゃん？｣

｢〜〜〜っ、違うから！！｣
　
　
　
　
　

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