お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと朝 ページ33

　
　
　
　
｢………の中でダントツです｣






ふわふわした気持ちで夢の中を泳いでいたとき




いつもより近くから聞こえる兄の声に




もちろん不愉快になった




あれ…私




昨日部屋の鍵を更衣室に忘れて




取りに行こうとしたら1年の男子がまだ使ってて




終わるの待つために学食の机に座って…




おっとー？それから記憶が無いんですけど




必死に思い出そうとしても




落ち着く香りと暖かい感触で眠気が襲ってきて




頭を持ち上げられる感覚にまたもやイラついた






｢A、寝てていいから腕返して｣






耳元で聞こえる落ち着く声で




少し落ち着いた眠気がまだ襲ってくる




それを邪魔するかの如く揺さぶられたり




ましてや頭を動かそうとしてくる




普通に睡眠妨害は腹が立って




苛立ちの分締め上げてやった






｢え、賢二郎…流石に朝から妹にムラつくのは良くないだろ｣




｢ふざけんな俺はただの被害者だ｣




｢朝勃ちくらいトイレ行けよ｣




｢違うって言ってんだろ｣






苦手な界隈の会話が聞こえてきて




余計に布団から出たくなくなったと思ったのに






｢A、まだ寝るの？｣




｢、あたま、なでんな…｣






ずっと昔の小さい頃




朝に弱い私を起こすために




賢二郎が知恵を搾った起こし方




前髪を触るようにおでこから後頭部にかけて




いつもボールを触れているはずの手のひらを滑らせて




優しく撫でてくれるその起こし方は




何歳になってもたまらなく好きである








｢あ、Aちゃんおはよ〜｣

｢お、おはようございます｣

｢あれ、寝起き悪いって聞いたけどご機嫌？｣

｢そ、そんなことは……ないです…よ｣






天童さんに早速図星をつかれてそこそこ焦った
　
　
　
　
　
　

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