お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

妹と湯冷め ページ28

　
　
　
　
｢もう全員風呂終わった？｣




｢はい、あとで五色が鍵もってくると思います｣




｢了解〜｣






ぺったりと髪の毛が落ち着いている目の前の男は




普段とはまるで違う人のように見えて誰だか分からない




去年の合宿の時にも、今と同じセリフを聞かれた




けど俺はその時それが天童さんだと気付けなかった






｢相変わらずすごい変わりようですね、その髪｣




｢誰だかわかんないよネー｣




｢五色とか特に｣




｢脅かしてこようかな｣




｢俺にも被害あるんでやめてください｣






食堂を出てまっすぐ進んだ突き当たりにある大浴場




3年生から順番に使って今は1年の時間帯




Aは3年生より早く入っているし多分もう寝てる




と思ったのに






｢ビャーーーー！！！？？｣




｢なっ、何ですか急に！｣




｢なんか髪の毛！…あれ、Aちゃん？｣






部屋で勉強でもしようかと思った瞬間聞こえたのは




天童さんの断末魔




薄暗いところで急に大声が出ると俺もさすがにビビる




髪の毛と言われた方向を見るとそこには




まだ髪の毛が濡れたままの寒そうなAの姿






｢なんでココにいんの！？風呂は！？｣




｢……なんのための湯船だよ｣






起きる気配がまるでないAの肩を数回叩くものの




睡眠妨害がウザったいのか唸るだけだった




3年と2年の寝る部屋の間にあるはずのこいつの部屋は




鍵がないと開かないので




バレたら怒るだろうと思いつつポケットを上から触って




ルームキーを探した




けどなかった




まぁつまり…






｢あは、Aちゃん廊下で寝かせる気？？｣




｢…だからって俺の布団じゃなくても良くないですか｣




｢兄として心配じゃないの？男まみれの合宿で1人の女の子が無防備に隣で寝てたら……なんちゃってー！｣






部屋が開かないなら連れて行ける部屋で寝かせるしかない




それは分かるが俺の布団で寝るとは思わなかった




いつも隣で寝てるとはいえ距離が違うし




そもそもベッドじゃなく敷布団だ




でも確かに自分の妹を廊下はもちろん




思春期の男子たちの中にぶっ込んで寝かせるのも




正直兄としては気が引けた




だから仕方なく、だ




首からタオルをかけた五色がやってくるのを横目に




俺でも運べるほどに軽い身体を抱き上げた


















｢ちょちょちょ賢二郎！女の子をそんなお米みたいな持ち方しないの！せめておんぶ！！｣




｢引きずらないだけマシですよ｣






結局横抱きにした
　
　
　
　
　

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