お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

妹と風呂事情 ページ27

　
　
　
　
｢白布｣




｢あ、はい！｣






100本サーブを終えた汗だくの牛島さんが




遠くから俺の事を呼ぶのは珍しい




何かあったのか、それとも調子がいいことを褒められるか




呑気に的はずれなことを考えていた俺は直後に項垂れた






｢妹に先に浴場を使うように伝えてくれ｣




｢……わかりました｣




｢すっごい不満げ〜、どした？｣




｢何か問題でもあったか｣




｢いえ、特になんでもないです｣






失礼しますと牛島さんたちに頭を下げて




小走りで太一の元へと戻ったが




正直俺の心はムカムカで膨らんでいた






｢…なに、なんでそんな不機嫌？｣




｢Aに風呂先入らせろって｣




｢いいじゃんなんか問題ある？｣




｢あいつ絶対“女子は私だけなのでシャワーでいいです”とか言って言うこと聞かない｣




｢そう？女の子ってお風呂時間かかるし喜びそうだけど｣






ボールを指先で回転させながら呑気に言うこいつは




まるでAを分かっていない




あいつが家以外の風呂で長かったことなんてぼぼ無い




いつも地味に遠慮する




初めてばあちゃんの家に泊まった時も




湯船には浸からなかったせいで翌日熱を出した




合宿中にその二の舞は絶対に嫌だし困る




人手が足りないのは事実だし






｢太一、Aに伝えてきて｣




｢えなんで俺？自分で行けよ｣




｢俺明日のチーム戦のスターティング見てない｣






もちろん嘘では無いが




特別今確認しないといけない訳でもない




ただ突然決まったマネージャーに




腹を立ててる可能性のあるAに会いたくない




嫌がった時の脅し文句を伝えて俺は自主練を再開した
　
　
　
　
　
　

妹と湯冷め→←お兄ちゃんと夜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す