お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと合宿 ページ20

　
　
　
　
｢今…なんて言った？｣






騒がしい弟たちが公園に遊びに行って




親も仕事で家にいないのどかな夏休みの平日




私の耳に飛び込んだ言葉は1度では理解できなかった






｢だから、合宿、学校で、1週間｣




｢合宿！？｣




｢去年もあっただろ｣




｢勉強しててそれどころじゃなかった｣




｢あそ｣




｢いや、まぁ、合宿はいいとして、いつから？｣




｢あさって｣




｢あさって！？！？｣






テレビでクイズ番組を見ながら軽く言い放ったその言葉




ふと思い返すと去年、確かに賢二郎を見かけない日が




何日かはあった




あったけども！！？






｢なんで今言うの！？春樹たち遊びに連れてくのは！？｣




｢そんなのお前がやれよ｣




｢帰宅部だって忙しいんだよ！｣




｢どこがだよ｣






そりゃ、課題したり服買いに行ったり




家事したり部屋片付けたり？




とにかく賢二郎とは違った忙しさがあるのよ私にも




それを突然お守りパラダイスにされたらたまらない






｢ぜっっっったい私は面倒見ないからね｣




｢可愛い弟泣かせんのか？｣




｢そう思うならお前も手伝えバカ！｣




｢強豪のスタメンってお前の想像以上に大変なの｣




｢知ってますけど！？｣






どうせここでこんなに大きく叫んだところで




私が面倒を見ることになるのは変わらない




けどここで｢うん分かったよ頑張ってね｣




なんて言ったら負けた気がして嫌だ(負けとは)




呑気に夏樹のパーカーをひざ掛け代わりにして




お茶を飲む兄を睨んだ






｢お母さんにいいつけてやるからな！｣




｢母さんにはもう言ってある｣




｢じゃあその時なんで私には言わねぇんだよ！！｣




｢風呂入ってた｣




｢上がるの待てよ！｣




｢お前長いもん｣




｢知るか！女の子は時間かかるの！｣






結局ストレスが余分に溜まっただけの言い合いを終えて




私は怒りながら冷蔵庫からチーズケーキを取りだした




お父さんが会社の人からもらってきてくれたものだ




私の好きなお店のケーキだから楽しみに取っておいた




棚からフォークとコップをとって




ソファの真ん中を1人で陣取る賢二郎に




体当たりするようにソファに割り込んだ






｢いてぇよバカ｣




｢うるさい｣
　
　
　
　
　

お兄ちゃんと最悪→←お兄ちゃんと夏休み

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す