お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと慰め ページ18

　
　
　
　
｢お前学校で泣いたりするんだな｣




｢……るさい。今回だけだもん｣




｢泣き方変わらないし｣




｢子供っぽいって言いたいの？｣




｢……まぁ悪く言えば？｣




｢……良く言うと？｣




｢……………可愛げが残ってる…？｣




｢なんで疑問形なんだよてか即答しろバカ｣




｢泣かすぞ｣




｢やだ｣






意地悪を言ったりからかったりするのは変わらないのに




私の背中を撫でる手だけは昔のように優しくて




そのせいでまた賢二郎の肩は湿っていく




男のくせにむさ苦しい匂いがしなくて




私の好みの香りなのがなおのこと腹立つ




腹いせに少し強めに顔を擦り付けると




賢二郎は少し脹れながら、でも決して怒らず呟く






｢おい痛てぇよバカ｣




｢おにーちゃんなんだから、これくらい我慢｣




｢出たその理屈｣




｢おにーちゃんなのは事実でしょうが｣




｢まあ確かに｣




｢良かったね、こんなに可愛い妹がいて｣




｢冗談？｣




｢肩噛みちぎってやろうか｣




｢やめろ｣






冗談を混じえながら慰めてくれるなんて




ほんの少しだけ周りの女子が




賢二郎をカッコイイと言う理由がわかった気がした









＿＿＿＿モヤ








｢……んん？｣




｢なに｣




｢…変なもの食べたかな｣




｢お前さすがに拾い食いとかは止めとけよ｣




｢しませんけど｣




｢もう帰るか？｣






突如感じた心臓あたりのモヤモヤに違和感を持った




賢二郎にも伝わったみたいだけど




涙のせいでは無いと女の勘が言う




秒針とおなじ速度で鳴り続ける賢二郎の心臓の音を




ここまで間近で聞けるのはいつぶりだろうか




割と真面目に思い出しても小学生が最後だった




だからまだ少し…




あと少しだけ




このままでいたいと思う気持ちは




少女漫画に出てくる気持ちと同じだなんて




気が付くのはもう少し後のこと






｢……賢二郎って華奢だよね。男にしては｣




｢……本気で殴るぞ｣




｢え、地雷だった？ごめん｣




｢身長伸びねぇんだから仕方ねぇだろ｣




｢……ふは、賢二郎意外と可愛い悩み持ってんね｣




｢まじ絞め殺したい｣




｢えやだ、やめてよ｣




｢お前はマジでもう少しでいいから可愛げがあればいいのに｣




｢結構失礼｣











＿＿＿夏休みが始まる
　
　

　
　
　
　

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