お兄ちゃんと妹 4 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと涙 ページ13

　
　
　
　
｢なんでそんな簡単に人の彼氏に手出せるのよ！！｣




｢だから出してないってば…｣






何度も何度も同じことの繰り返しが続いた




責め立てられて否定して




否定されたことに対して怒られて




刺激しないように黙り込んだらまた責められる




違うと言えば嘘つきと言われ




黙り込んだら認めたと怒鳴られる




何をしてもしなくても




私だけが悪くなるばかりのこの状況で




身の潔白なんて証明出来るわけがない




そう自覚してしまったが最後




自分のプライドで耐えていたはずの悲しみの涙が




目の前のクラスメイトと写真を見えなくしていく




ここで私が泣けば




クラスメイトは被害者ぶるなと叫ぶだろうか




｢あれ、違うかも｣って思ってくれないかな




そんな期待は儚く崩れて




グラウンドからは部活に勤しむ生徒の掛け声が聞こえた






｢(……はは、学校で泣くとか、人生初なんですけど)｣






泣いたら終わりだとわかっていたのに




別にみんなから責め立てられたり




意味が分からない濡れ衣を着せられたり




女の子たちから目の敵にされるのは




これが初めてじゃないのに




何度も何度も




ずっとひとりで耐え続けたツケが回ってきたのか




生まれて初めて




悔し涙が左目から零れた




1度こぼれてしまえば最後




止まることなく涙は溢れてくるものだ




ポロポロと零れ続ける涙を見て




左目から涙が出る時は




悲し涙だと教えてくれた祖母を思い出した




そんなこと今思い出したところで




どうせ意味ないのに






｢は、？な、なんで白布さんが泣くの！？むしろ泣きたいのはコッチなのに！！｣






やっぱりなと頭と心が同時に言った




私が泣くのはお門違いだと言いたいのだろう




泣き止まないとまた話が長引いてしまう




早く止まれと強く念じた




泣いてる姿は春樹たちにすらそんな見せたことないのに




賢二郎の前でしか泣いたことないのに






｢………ねえ、どういう状況？｣






おばあちゃんが涙の話をした時は




賢二郎も近くにいてくれた
　
　
　
　
　

お兄ちゃんと助っ人→←お兄ちゃんと写真

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す