悪役に選ばれし華麗なる華 (ページ10)

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9話ページ10

貴方side

トレイン先生が飼っている猫よりも
大きいグリムくんは最初こそ抱えていたものの
腕が疲れてしまって手を繋ぐことにした

下ろした瞬間は逃げようとしたから捕まえたけど
流石に疲れたのか今では大人しくしている

というか
つまみ出されたことが結構ショックなようだ

「ふなぁ…」

『悔しい？この学園に入れないのは』

「あったりまえなんだゾ。
オレ様はこの学園に入るためだけにここにいるのに。」

『…なら、お手伝いしてあげようか』

「手伝い？」

『入りたいんでしょう？
この学園に、生徒として。』

「そ、そんなことお前に出来るのか！！？」

『流石に入学を決める権限は無いけど…まぁ、
上手く促せば貴方を入学させた方が良い、と
あのカラスお面男に思わせられるかもしれない。』

「ほんとか！！？」

『上手く行けば、ね』

入学できる可能性にウキウキしたのか
スキップをしながら散歩をしている

とはいえ、学園外に放ってくると言って出てきたのだ

普通にこの辺にいるんじゃ怪しまれてしまう

『グリムくん、1つお手伝いできるかな？』

「何でもするんだゾ！」

『じゃあ、私が学園長とゆうくんを連れてくるまで
アソコの建物の中で待っててくれないかな」

「？なんなんだゾ？アソコ。すっげぇボロいんだゾ」

『んー、まぁ私の昼寝スポットとでも言っておこうかな』

「？？よく分かんねぇけど、あそこで待ってれば
いいんだな！任せるんだゾ！」

『少し時間がかかるかもしれないから……あ、そうだ』

式典服の下に着ていた自分の服のポケットから
ツナ缶を取り出す

本当はルチウスくんに餌として
あげるつもりだったんだけど、
今日は出会えなくて余っていたのだ

グリムくんがツナ缶を好きかどうか…
そもそも食べていいのかが分からないけど

『これ、食べれそうなら食べていいよ。
口に合うか分からないけど』

「これ、なんなんだゾ？」

『ツナってお魚の缶詰だよ。』

「美味そうな匂いがするんだゾ！」

『なら良かった』

ボロボロと言われてしまったお昼寝スポットへと案内する

確かに一見不気味で今にも崩れそうだとか
言われてるけど多少休むくらいなら問題は無い

玄関を開け、グリムくんが驚いてしまいそうな
「彼ら」達がいないことを確認して中へ入る

『それじゃ、少しの間ここで待っててね』

「任せるんだゾ！」

頭を優しく往復して撫でたあと
一応念の為に敷地周辺にグリムくんの魔力を
漏らさない結界を張る

まぁ、念の為であって特に意味は無いけど
　
　
　
　
　