悪役に選ばれし華麗なる華 (ページ9)

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8話ページ9

貴方side

魔力のある狸くんはグリムと名乗り
魔力のないこの子はゆうと名乗った

暑苦しい式典服のフードを脱ぎ髪を外へ流す

しかしローズハートくんは
この着こなしについて口を挟みたいようだ

「まだ式典の最中なのだからフードは……」

『それで学園長』

「おや、残念でしたリドルさん。
彼女聞く気ないようです。」

「〜〜〜っ！」

『入学したくて暴れたというのは？
闇の鏡はまだ使っていないと？』

「いいえ、もう彼＿ゆうさんには見て頂きました。
しかし……」

『…何か問題が？ ……あ、』

闇の鏡に魂の形を見てもらうことで
寮が決まるこの学園では魔力もその材料のひとつ

しかしゆうくんにはその魔力がないから
きっとどの寮にもふさわしくなかったのだろう

ゆうくんは魔力がない為どの寮にも適さない

さっきの考察が当たってしまったようだ

しかしグリムくんは魔力を持っているから
代わりに自分が入学する…とでも言い出したのだろう

「いやしかしなんと説明したらいいのやら…
え〜つまりですね？彼はまず魔力が…」

『いえ、もう結構です。大抵の事は把握しましたから。』

「え」

「さすが学年トップのスカーレットさんですねぇ。
この少ない情報量でもう事の全てをこんなに早く
把握してしまうとは。」

『そんなに褒めていただけることでもないです』

「ふふ、これは手厳しい」

「アズール、意味の無い雑談はおよし。それで、学園長。
魔物と彼はどうします？まだ式典の最中です。
状況が分からず混乱している新入生もいる。
早急に決めて頂きたい。」

ローズハートくんの言葉を聞き
周りに掃けている新入生たちを見る

確かに驚いている人から怖がっている人まで様々だ

さすがに3年生や2年生の1部は平然としている
もしくはそのフリをしている人が多いけれど

「そうですねぇ…ごほん！では、この狸くんは
学園外に放り出しておきましょう。
鍋にしたりはしません。私、優しいので。」

『やっぱりそうなるよね…』ﾎﾞｿﾘ

「誰かお願いします！」

学園長の掛け声に反応したのは
ハーツラビュル寮の2年生だった

しかし、ここでその役を取られるわけにはいかない

『私が行きます。その方が何かと安心でしょう？』

「ふむ…そうですねぇ。じゃ、お願いします。」

『ほら、行こっか。グリムくん』

「ぎにゃー！離すんだゾ！オレ様は……絶対、絶対！
大魔法士になってやるんだゾー！」

ギィィ…バタン！

重く厚いドアが締め切られ
グリムくんは私と共に学園の外へ出た…

＿＿フリをした
　
　
　
　
　