悪役に選ばれし華麗なる華 (ページ6)

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5話ページ6

貴方side

挑発するかのように微笑めぼ、
正論パンチを食らった彼は顔を真っ赤にして怒りつつも
反論はしてこなかった

彼は真面目すぎる

校則なんて、穴をつけば幾らでも破れるのに

まぁハートの女王の法律が穴だらけかどうかは
知らないけど

すっかり大人しくなった小さな女王は放っておいて
まずは狸くんだ

先程は先輩に腕を掴まれたせいで叶わなかったけれど
今は邪魔が入らない

さぁ、何が起こっているのか
教えてもらおうではないか

燃え続けている残りの火を
魔力感知でマジカルペンを振りかざし消火する

新入生たちからの視線が少しばかり痛いけど
あえて無視して気にしない

面倒事は私だって好きでは無いのだ

『一体いつからこの学園は
入学式に使い魔の同伴が認められたんですか？』

「そんなの認めているわけが……って、ん？」

『式典用の飾り、真っ黒焦げでしたよ？学園長』

「ス、スカーレットくん！？
貴方一体どこに行ってたんですか！
この前代未聞の事態が幾つも起きているというのに！」

『気分が悪かったんですよ。
それで、“これ”は？』

「え？あ、あぁ…｣

「僕が変わりに説明しましょう」

「ん？確かキミは…」

学園長を遮って入ってきたのは、
大人しそうな眼鏡をかけた白髪の男の子

この人、確かオクタヴィネル寮の…

『アーシェングロッドくん、で合ってますか？』

「えぇ、覚えて頂けているようで安心しました。
A・スカーレットさん？」

『あら、こちらこそ』

胡散臭い笑顔を向けながら歩いてくる
アーシェングロットくんは眼鏡を上げながら説明した

「この狸くんが、どぉぉしても！
この学園に入学したいと少々駄々を捏ねてまして…
魔法を使って暴れてしまったんですよ。」

『駄々を、ねぇ…？』

まるで狸じゃなくて人間の子供みたい

突然現れた新たな学園関係者にビビっているのか
見た目だけは威勢がいいけれど
少し焦っているのが隠せていない

別に取って食べたりしないよ

私お肉は鶏肉派だし

学園長の傍を離れ
首輪をつけられ外したがっている狸くんの元へ行く

コツコツとブーツの音が野次馬の騒音をかき消す

私は鏡の前に立っている狸くんに目を細めながら言った

『キミ、お名前は？』

今思えば、コレが“本当のハッピーエンド”の
始まりだったのかもしれない
　
　
　
　
　