悪役に選ばれし華麗なる華 (ページ5)

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4話ページ5

貴方side

『学園ちょ…』

「おい、どこに行く」

『ぅわっ』

数歩歩いたところで
誰かに腕を後ろに強く引かれる

体格的に、突然掴まれれば振り払うことが出来ない

もちろん掴んできたのは…

『先輩…いきなり掴むのやめてください。
吃驚して肩外れちゃいます。』

「急に移動しようとするからだろ」

『暴れてる狸くんの所に行くだけですよ。』

「なんでてめぇが行く？
ほかの2年がもう動いてる。任せとけばいいだろ。」

『私は先輩ほど面倒くさがり屋でも、
他人任せでもないんです。』

あたふたとしている野次馬の最前列に出ると、
学園長が叫んでいるところだった

「どうにかしてください！貴方の使い魔でしょう！？
しっかり躾を…」

「ですから！！僕のじゃないですって！！！」

「…え？貴方のじゃない？」

「さっきから何度もそう言ってるじゃないですか！」

「…そ、そうでしたっけ？」

全く…人の話を聞かないのも困るものだ

先輩が他の2年が動いていると言っていたけど、
どうやらあの狸くんはハーツラビュル寮と
オクタヴィネル寮の寮長たちに確保されたようだ

狸くんの首には、ローズハートくんだったか、
ハーツラビュルの寮長のユニーク魔法である
首輪つけられてる

あれを付けられたならもう騒ぎは起きなさそうだ

「ん？…あ！？どこに行ってたんだね！？」

『げ…』

狸くんの首輪をつけた本人を探していると、
視線を察知されたのかあちらも私に気が付いてしまった

プリプリなんてもんじゃなく、
いつしか読んだ真っ赤な女王のようにイライラ全開だ

その小柄な体からずしずし聞こえてくるのがイヤだ

私より小さいくせに
なんでそこまで威圧感を出せるのか教えて欲しい

『人混みに酔ってしまったから外に出てただけだけよ』

「今は式典の最中だろう！？｣

『だから？』

｢だから！？体調が優れないのなら医務室に行けばいい！
具体的な行き先を先生や誰にも告げずに
勝手に姿を消すのは迷惑だ！」

『気分が悪くなるのは私だけとは限らないでしょう？
私の他に緊張で体調を崩す新入生がいたら？
少し外で落ち着けば治る私が顔を出すなんて、
それこそ迷惑よ。』

「だからって…！」

『私は貴方のように寮長ではないのだから
ここにいなくてもなんの問題も無いもの。』

「…っ」

『分かってくれた？ハーツラビュルの法律(ルール)さん』

「君は屁理屈がお好きだね…！！」

……いやちょっとそれは心外だ
　
　
　
　
　