悪役に選ばれし華麗なる華 (ページ4)

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3話ページ4

貴方side

お尻の火事は解決したが
こっちは解決が出来ていない

早く原因をつきとめたいと人混みへ入ると、
見慣れた後ろ姿を見かけた

相変わらずだるそうな態度を全部前に出している

内申点を引かれかねない態度だ

『こんばんは。相変わらずですね、先輩』

「あ？って、お前！…ったく。
入学式ほったらかしてどこほっつき歩いてた。」

『少し気分転換を』

「後にしろよ」

『我慢は嫌いなんです。知っているでしょう？』

「チッ」

面倒くさそうに頭をガシガシをかきながら
睨みつける先輩

その顔新入生にしたら
貴方すぐさま怖がられますよ

そう思ったけど口には出さなかった
出したら面倒くさそうだし

先輩の隣に移動しながら
周りを改めて観察する

けど途中からしか見てない私には
到底わかるわけもなかった

『なんの騒ぎですか？これ』

「変な狸が暴れてんだよ。
使い魔だとかなんとか…まぁどうでもいいが。」

『へぇ…』

恐らく図書館で見かけた2人だろう

いや1人と1匹と言うべきか

魔力を感じなかったあの男の子は
火を出せるわけが無いし、
この火の原因はあの狸くんか

さっきに比べて随分と落ち着きを
取り戻し始めた会場を見渡しながら
ふと頭に浮かんだ疑問を口にする

『火元分かってるのになんでほったらかしなんですか？
先輩が捕まえたら直ぐに終わるのに。』

「なんで俺がそんなめんどくせぇ事
しなきゃならねぇんだ。」

『なんでって…あなた寮長でしょう？』

「だから？寮長なんざ他にもいるだろ。」

『またそうやって他人任せに』

まぁここでとやかく言っても
この人が素直に動くはずがない

誰も何もしない訳では無いだろうし、
とりあえずその狸くんの姿を確認しよう

床や天井、部屋を飾っていたカーテンに
燃え広がっている火を魔法で消火しながら
騒いでいる方へ向かう

ふむ、火を見る限り
この学園を燃やそうとしたとは考えにくそうだ

炎にまるで悪意が込められていない

ならどうして狸くんは魔法を？

そして、狸くんはあの男の子の使い魔ではない

使い魔になるメリットが存在しないし、
使い魔になるための契約も交わせない

2人は他人同士に間違いない

推理してみるものの、
現場に居合わせなかったのだから
本当のことなんて分からない

目の前に学園長だっているのだ

聞いてみようではないか

ブーツのヒールをコツコツと鳴らしながら
狸くん達に近付いた
　
　
　
　
　