悪役に選ばれし華麗なる華 (ページ15)

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14話ページ15

貴方side

タオルで全身を拭いてあげると
元々ふわふわだった毛がさらにふわっふわになった

『ただ拭いただけなのにこんなにふわふわになるなんて…』

「ふなっ！？もふもふするな！」

『だって…ルチウスくんを超えた動物なんて
初めてなのよ？』

「ルチウスって誰だゾ！」

『私が大好きな猫ちゃん』

「猫扱いするんじゃねぇ！！」

『もう猫になっちゃおうよ」』

「絶対お断りなんだゾ！」

「Aせんぱぁい、そろそろ掃除しましょうよ〜〜」

もふもふな動物が好きなのがバレたのか
ゆうくんの私の扱い方が随分と雑になってきた

けど私はこっちの方が一緒に
遊んでくれそうな後輩って感じで好きだ

ふわふわグリムくんを撫で回すのも程々にして
きちんと拭いてあげる

気持ちよさそうに目を細める姿は
本当に猫そのものなんだけどな

「あの、これって…」

『あー、それ壊れかけだし捨てた方がいいよ。
新しいのは購買部に後で連れて行ってあげるから
そこで買お』

「すいません、これは…」

『ん？あ、それは学園長の忘れ物だから
私が後で返しておくよ』

「こ、これって……？」

『あはは、それは先輩の枕だよ。
よくここに昼寝に来てたの。
もう来るなって突き返しておくね。』

……呼ばない

私は散々ゆうくんと呼んでいるにもかかわらず
彼は1度たりとも私の名前を呼ばない

あのー、とか

すいません、とかばっかり

もしかして私の名前を知らないのだろうか

学園長があれだけ「スカーレットさん」と呼んでいたのに

『ねぇゆうくん』

「はい、なんですか？あっ、こらグリムッ！
埃が立つからベッドで跳ねるな！！」

「このベッド全然跳ねないんだゾ！」

『買い換えて貰えるように学園長に頼んでおくね』

「ありがとうございます、あ、それでなんでしょう？」

『なんで私の事名前で呼ばないの？』

「へ？」

『私はゆうくんって呼んでるのに。
もしかして名前分からない？』

「そ、それもありますけど…」

『けど？』

ゆうくんの顔は耳まで真っ赤だった

なぜ？？
　
　
　
　
　