悪役に選ばれし華麗なる華 (ページ14)

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13話ページ14

貴方side

『おーい、グリムくーん？
…はぁ、どこいっちゃったんだろ。
ここで待つように言ったのに…』

談話室のゆうくんには聞こえないように
注意しながらグリムくんを探す

けれどキッチン、寝室、廊下、玄関
どこを探しても彼の姿が見当たらなかった

考えたくは無いが、まさか“彼ら”に…

すぐに魔法を出してしまうグリムくんのことだ

もしかしたら彼らの怒りを買って
追い出されてしまっているかもしれない

そうなると外だろうか

この雨の中外にいるのは
いくら毛皮があるグリムくんでも寒いだろう

あいにく傘は持っていない

けれど私は式典服が濡れるのも構わず外へと飛び出した

否、飛び出そうとした

「う、うわぁぁぁ！！？？」

『へっ、ゆ、ゆうくん！？』

談話室からゆうくんと思われる叫び声が聞こえた

もしかしたら彼らが…と思い急いで戻れば
そこには探していたグリムくんの姿があった

「ぎえー！急にひでえ雨だゾ！」

「た、たた、たぬ、！」

『グリムくん！？どこ行ってたの！？』

「あ、や〜っと帰ってきたんだゾ！」

「さ、さっきの喋る狸〜！！！」

「ふなっ！？オレ様は狸じゃねぇ！！！」

『ゆうくん落ち着いて、別にもう火事にはならないから』

「なんでここに！
あなた直々に学園外に放り出されたんじゃ、！？」

『あー、あれね。ふふ、ウソついちゃった』

「はぁ！！？？うそ！？」

語尾に星マークでも見える言い方をすれば
何故か少し頬を赤らめるゆうくん

雨のせいで風邪をひき始めたのだろうか

グリムくんは、濡れた毛を乾かすために
ブルブルと身体を震わせようとしている

まって、それすると周りが濡れるからやめようか

タオルで軽く拭いてあげると擽ったいのか目を細めている

『それよりグリムくん、ここにいてって言ったのに
なんで外に出たの？誰かに見つかったら今度こそ
学園の外に追放されてたよ？』

「お前がち〜っとも帰って来ないから、
近くまで迎えに行ってやったのに急に雨が降ってきて
びしょびしょになっちまったんだゾ。」

説教のように聞こえてしまったのか
耳をしょぼんと垂れさせるグリムくん

しかしそれがとんでもなく可愛く見えてしまった

『…ご主人様を出迎える猫ちゃんみたい。』

「お、オレ様は猫でもねぇ！！」

「うわ！こら！この狸！」

『ちょ、水飛ばしちゃダメ！』

「狸でもねぇんだゾ！」

『わ、分かった！猫って言ったの取り消すから！』

「あっ、くっそ床を濡らすなこの狸！」

＿＿非常にカオスである
　
　
　
　
　