お兄ちゃんと妹 3 【白布賢二郎】

お兄ちゃんと輪の中へ ページ10

　
　
　
　
｢いーやーだー！！！｣




｢絶対いやだ！！｣




｢わがまま言わないの！｣






なんだかデジャブ感が拭えない光景だ




でも前回と違うのはオネダリの内容






｢他のも見る！！にーちゃんの試合つまんなかった！｣




｢もっと互角な戦いが見たいの！｣




｢賢二郎の試合だけって約束でしょ？｣




｢こんなに早いと思わなかったの！｣




｢もっと面白い試合がいい！｣






可愛い可愛い弟からの上目遣いのオネダリは




弟に甘いとよく怒られる姉に対して




効果はバツグンだ




思わず｢いいよ｣と言いそうになりながら




それがバレたらあのパッツン前髪が怒るので我慢する




また今度ね、と諦めさせようとしたその時




改めて思ったのだ




あぁ、うちの弟って結構自由人なんだなって






｢なら！｣




｢にーちゃんに聞いてくる！｣




｢は、は！？ちょ、待ちなさい！ハル！！ナツも！！｣






私の横を素早く走り抜けたかと思えば




観客席から下のコートに向かい始める双子




あの子たち足の速さまでお揃いか！？




可愛いな！！






｢いやそうじゃなくて、待ちなさい！｣






我に返って双子を追いかけるものの




運動不足のせいだろうか




全く追いつけない




私が1階に着いた頃には既に双子は




コートの中でストレッチをしている白鳥沢の輪の中に




ズカズカと入っていった




そして強く思った




やらかしてくれたな、あの子たち と
　
　
　
　
　
　

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