お兄ちゃんと妹 3 【白布賢二郎】

お兄ちゃんとだめ ページ6

　
　
　
　
｢にーーちゃあああん！！｣




｢がんばれぇええ！！！｣




｢ちょ、ちょっと！恥ずかしいからやめなさい！｣






忘れてた




双子は初めて賢二郎の試合を見るんだった




興奮しまくっているからか




手すりから乗り出して兄ちゃんと叫んでる




周りの観客は何事だとこちらを見ているし




下にいる天童さんは爆笑しながら賢二郎の肩を叩いてる




叫ばれてる本人はこちらをウザそうに睨んでる




すると賢二郎はムスッとした顔のまま口を開いた




口パク……？






｢にぃーーちゃああああん！！｣




｢がんばってぇぇぇええええ！！｣




｢(遠くてよく見えない…)｣






夏樹があまりにも乗り出すため




落ちないように抱えながら賢二郎の口元を見る




……だ、ま、ら、せ、ろ…




黙らせろ！？






｢なっ、！？｣






可愛い弟からの応援を黙らせろですって！？




なんて酷いお兄ちゃんなんだアイツ！！！






｢こんのばかけんじろぉお！！誰が黙らせるかぁぁ！！｣




｢ブッヒャャャャwwww Aちゃんサイコーww｣




｢…お前の妹ってあんなキャラだったっけ？w｣




｢知らねぇよ！｣






後ろの席にいるほかの高校生から




クスクスと笑われているのが聞こえているけれど




辞めてやるもんかという気持ちを込めて




こちらを睨む賢二郎に対して




んべっと反抗心を示してやった




心の中でしてやったり、とほくそ笑んでいたら




賢二郎がムッとした顔になったから




ほんの少しだけ優越感に浸れた










　







｢……うわ〜、さすが白鳥沢1の美女だな｣




｢べーだけなのにあんな可愛いもんかね？｣




｢ずるいわぁ…Aちゃん、ホントずるいわぁ…｣




｢……そうか？｣




｢俺、妹どころか兄弟居ないし…Aちゃん欲しいな〜？いい？けんじろ♡｣




｢そ、れは……｣






そんな会話は、双子はもちろん聞こえていなくて




多分聞き取ったのは私だけだろうな




隣から、なんでねーちゃん顔赤いの？と言われたけど




体育館が熱いからだと誤魔化した















｢そ、れは……だめ、ですね｣




｢……っ｣






聞こえてますよ

　


おにいちゃん
　
　
　
　
　

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