お兄ちゃんと妹 3 【白布賢二郎】

お兄ちゃんとお返し ページ49

　
　
　
　
｢おいなんで先帰った｣




｢春樹が熱出したから｣




｢俺に一言言えよ｣




｢LINEしたでしょ？｣




｢部活の途中で携帯見るわけないだろ。そういうことは直接言え｣




｢はいはいごめんごめん｣






ジャージから部屋着に着替えた賢二郎が




箸やコップの準備をして席に座る




その後ろを着いていくように私も夜ご飯を二人分運んだ




食べ始めて数分後、会話のなかった二人の間を




賢二郎が嫌な話題で埋めた




ご飯を食べながら永遠と愚痴を吐いてくる賢二郎に




私は少し疲れてきていた











｢おい、俺のジャージは？｣




｢今洗濯中｣




｢早く返せよ｣




｢分かってるよ｣






必要最低限の会話なのはいつもの事で




特に気にもとめなかったけど




ジャージという単語は今の私にとって




【お返し】という引っ掛かりを意識させる言葉だった






｢…ねぇ｣




｢なに｣




｢お返し、……って、、なに？｣




｢は？…………あぁ、アレか｣






副菜のサラダを食べる手を一瞬止めて考えて




学校での会話を思い出したみたいだった




何を言われるのか想像もできない私は




飲んでいたコーンスープのマグを持つ手が震えた






｢……風呂入ってからな｣




｢ふ、……ろ！？｣




｢別に風呂入ってなくてもいいけど、疲れて寝落ちとかしそうだろ、お前｣




｢な、は、え…何する気よ…？！｣




｢そりゃ…お前も想像ついてんだろ？｣




｢〜っ！！｣






ありえない




私たちは兄妹だ




ギリでもなんでもなく




正真正銘の血の繋がった兄妹だ




ソウイウコトはしちゃいけない




賢二郎もそのくらい分かってるはずでしょ！？




アタフタする私を流し目で確認したあと




私の食べ終わった食器と一緒に




賢二郎はキッチンへ消えた



















何故かめっちゃ丁寧に体を洗った
　
　
　
　
　
　

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